第32話 リュージ編32
「欽治、人形機動兵器ってあるよな? いや、無いとおかしい!」
「はい、知ってますよ。人型機動兵器」
「わかった! ありがとう!」
存在する、これはマジだ。
元の世界に戻るより、欽治の世界に行くことを優先するとしよう。
しかし、アニメ通りなら有名な時代より2000年以上も経ってる世界か?
有人じゃなく、無人化してそうだな。
見るだけなら元の世界でも良いんだよ。
すでに1分の1サイズのを見たから。
もちろん動かないが。
「ほう、欽治殿はもっと未来の世界からこの世界へ飛ばされてきたということでござるな。ぜひ、その世界のアイドルの話を聞かせてほしいでござる」
「アイドルですか? え――っと」
今はアイドルの話などどうでもいい。
愛想を振りまいて金稼ぎをする守銭奴よりロボットだ!
漢ならロボットなんだ!
「あっ、結城ダリアっていう凄いアイドルがいますよ」
「なぬっ! ダリア……でござるか!?」
ダリア?
どこかで聞いたことがある名前が……。
そういえば、愛輝が今、夢中になっているアイドルも同じ名前だよな。
あいつも転生者だったのか。
しかも、欽治と同じ時代か。
欽治と同じといえば、雪もそうだな。
杏樹はどこの時代だ?
あいつも未来人なら俺が旧人類ってことになるじゃないか。
考えが古いって思われたらやだなぁ。
こいつらが異常なのも生まれた時代が違うから?
それなら、俺はいつまで経っても普通の人ってことになってしまう。
異常な強さの理由も未来人からかどうか聞いてみるか。
「欽治、その強さって元の世界でもそうだったのか?」
「強いだなんて、そんな。僕なんて雪にも敵わないへなちょこですよ。無能力者だからレベルも0だし、小さいころからお父さんに厳しく鍛えられました」
ふぁっ!?
無能力者?
レベル0?
雪が欽治より強い?
そんなわけ無いって!
「雪ちゃんって、欽治より強いのか?」
「そうですよ。学園で5本の指に入るレベル7ですから」
学園と異能力者キタ――!
なんだよ!
お前の世界はいろいろ詰め込み過ぎだろ!
どれか一つを俺の時代にくれよ!
架空の世界でしか、そんなの存在しない寂しい世界なんだぞ!
「ほほう、その雪ちゃんとやら相当の豪傑なんでござるな。ぜひ、会ってみたいでござる。ところでダリア嬢の詳細を吾輩にご教授願えないでござろうか?」
アイドルの話は今はどうでもいい。
欽治の世界が俺の知っているあの世界から2000年後なら、特殊能力の祖先として有名になっているんじゃないのか?
「欽治、いきなりだが歴史の問題出すぞ」
「えっ? 僕、勉強は苦手なんです」
「まあまあ、異能力の初代覚醒者は誰だ?」
「むむむ、歴史の授業で習いました。えっと、確かシオン?」
「……あれ、やっぱ架空の世界とは違うのか?」
これじゃ、赤いほうもいなさそうだな。
あとは異能力で最弱の人が存在すれば凄いことなんだが、さすがに歴史の教科書に載るような人ではないか。
さっき、軽く流してしまったが雪ってそんなに強いのか。
「雪ちゃんって何の能力の持ち主なんだ?」
「
「人形使いか。確かに飛竜を従わせたり、ユーナを従わせたりしていたな。あれって、どこが異質なんだ?」
「人に限らず、命と呼ばれるものがあれば干渉できるみたいなんです。動物でも植物でも。雪のお陰で惑星そのものにも生命らしきものがあるということが判明したほどなんですよ。雪がまだ赤ん坊だったころに木星旅行へ行って、そのときに宇宙船内で大泣きしたことがあるんです。そしたら、木星の軌道が変わってしまいましたね。楽しい思い出です」
木星の軌道を変えた!?
笑い事じゃ済ませられないだろ!
雪がその気になれば本物のメテオを食らうことになるわけか。
暴走したら地球がお終いじゃないか。
絶対に怒らせるのやめておこう。
「その能力が使える雪ちゃんって
「いえ、違いますよ。両方です。
まあ、あの凶暴な性格でレベル7なら恐ろしいことになりそうだな。
すでに怖いお兄さんを召喚したところを目撃してしまったし。
速攻、逝ってしまわれたが。
「雪ちゃんって従わせた人を召喚する力もあるのか?」
「召喚ですか? それはまた別の能力です。一人一つの能力のはずですが、まさか雪が何かしたんですか?」
「いや、温泉街のドラゴンのときに
「そうなんですね。
そんな笑顔で感謝されたら墜ちてしまうやん。
だが、
少し、心に留めておいたほうがいいかもしれないな。
「あっ、能力者の話で思い出しました。結城ダリアさんも能力者なんですよ」
「何ですと――!!」
ま、同じ世界の人間なら有り得るだろ。
使えそうな能力なら、仲間に引き入れたいが。
「ぜ、ぜ、ぜ、ぜ、ぜ、ぜひ! 教えて欲しいでござる!」
興奮しすぎて欽治が引いているじゃないか。
欽治との距離が近すぎるぞ。
ソーシャルディスタンスを保てよ。
そもそも、さっきのアイドルと名前が同じだけで同一人物だとは限らないぞ。
「まず、ダリアさんは16歳で、髪は薄い桃色で、いつもポニーテールで」
「まさしく! 絶対に同じダリア嬢でござる! 代表曲は私のハートにコロニー落とし♪ があるでござろう!」
「はい。聞いていて元気が出ますね」
欽治と愛輝の話が噛み合ってる。
絶対に同一人物だわ。
それより、どんな曲名だよ!
ハートにコロニー落としをしたら跡形もなくなってしまうやないか!
「ダリアさんはトラベラーの能力持ちなんですよ。行けない所は無いって言われるくらい凄く羨ましい能力なんです」
「ふむ! もっと詳しく教えていただきたいでござる!」
「聞いた話ですが、時間移動は当然として異世界間も自由に行き来できるらしいです。この世界にも来ているみたいですね。さっき町を歩いている時にダリアさんのグッズがあって驚きました」
なん……だとっ!?
異世界間を自由に行き来できる?
それって元の世界に帰れるし、欽治の世界にも行けるってことじゃないか!
「欽治はダリアとは知り合いじゃないのか?」
「学校は同じですが、先輩なので話したことは無いです」
「欽治殿はダリア嬢と学校が同じとな!? ぜひとも、ダリア嬢の制服姿の写真を頂きたいでござる!」
いや、そんなの持って歩くのはドルヲタくらいだろ。
だが、同じ学校というだけでもきっかけを作るには丁度いい。
ユーナの手伝いとやらが終わり次第、4人でダリアの元に行ってみるとするか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます