33


「グランツアー先生、なんでいるんですかぁ~?」



「…俺の事はどうでもいいだろうが…」



何故3人が此処にいるのか…


私が魔獣に喰い殺される所を態々見に来たのだろうか?




エリアナを睨みながら、先生は3人から隠すように私を抱きかかえる。



「そこをどいたほうがいいですよ~?」


じゃないと先生も死んじゃいますよ~?

言いながら嗤い続けるエリアナの言葉に、先生は何も答えず、お兄様の方に目を向けた。



「おい、キリク!目を覚ませ!!」


先生はお兄様に必死に訴えかけるも、お兄様は無表情のまま何も変わらない。




「…何を言い出すのかと思えば…、私は至って正気だが?グラン、お前こそ何をしている」



「何を…って、この子はお前の大切な妹だろうが!」



「…私は、聖女様をお守りしているだけだ。その女はもう妹でも何でもない」




「__っっ!」




操られているとわかっていても心に刺さる…


淡々と言うお兄様の声色は、今までに聞いたこともないほどの冷たさで、

悪夢を思い出すには充分だった。




「邪魔をするというなら、お前でも容赦しない。」



そう言うお兄様は、携えていた剣を鞘から抜き、此方にゆっくり歩き出した。



「ちっ、_っ!?な、殿下!?」



私から一旦離れてお兄様に向き合おうとし、立ち上がった先生は、そのまま体が停止した。




よく見ると、水の膜が先生の体に巻き付くように覆っている。


殿下が水魔法で先生を拘束したのだ。



「っ、くそ、キリク!止めろ!!」


その間にもお兄様の足は止まらなかった。



「…グラン、そんなに死にたいならお前から殺してやろう」



「なっ!?」



「__っ!……!~!!」



駄目!お兄様!そう叫びたくても私の声はでない。



先生の近くまで来たお兄様が、身動きできない先生に向かってその剣を振りかざし__






だめっっ!!



















「__いつまで遊んでいる」




え?




見ていられなくて、ギュっと閉じていた瞼を、私はゆっくり開けた。




お兄様の剣は先生に届く事はなく、いつの間にか下ろされていた。






「……サディアス王弟殿下?」


先生も、また新たに現れた人物に驚いている。



悠然と立つ殿下の後ろには、この世の者とは思えない風貌の男が、彼を主と敬うように控えていた………







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