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「うぅ…どうしよう…」



「ユリーナ?そんなに唸ってどうしたの?」



「うん…、明日の授業の事でちょっとね…」



「明日?あぁ、魔法学の実技のこと?でもユリーナ、貴女、入試で殿下と同列だったらしいじゃない。何が心配なのよ?」



「いや、まあ…」



魔法を使うと聖女候補だってばれるからです。なんて言えない。





休み時間中、悶々と考え込んでいると、アマリアから心配された。



そう、遂に明日から、恐れていた魔法の実技授業が始まるのだ。今までの1学期前半は座学だけだったので、安心してしまい実技があることを完全に失念していたのだ。


光魔法を使わなければ済む話なのだが、入試の魔力検査で学園側には私が光の属性があることは知られているだろう。



今更光魔法を使えません等と言っても信じてもらえまい。授業では各々の属性によってグループに分けられ、魔力の使い方を教わるらしい。


そんな授業では逃げられないではないか!









結局、何の打開策も見つけられぬまま、一日の授業を終え、いつものように生徒会室へと向かう。その途中、廊下でグランツアー先生と会い、ちょっと話があるからと、またも図書室へと連れられた。



因みに先生も名前呼びなのは私も生徒会の仲間だろう?などと言ってきたためである。








「ユリーナ嬢、何か困っている事はないかい?」



「……いえ、特には。」



「…本当に?」



「…はい」



「君の今の表情と、返事が即答でない時点でそれは違うと言っているようなものだよ。…明日の魔法学の実技を心配しているのだろう?」



「!!」



「大丈夫、君の兄上からも頼まれていると言ったろう。そのことは、私が何とかするから、安心しなさい。だからユリーナ、君は…」



何も心配いらない___、俺に任せておけ。


「!?」


いつの間にか一定の距離を開けていたはずの先生が、急に目の前まで来たかと思ったら、次の瞬間、先生は私の耳元で囁いた。想定してなかったことと、耳元がくすぐったくなったので、


ひゃっと思って耳を抑えながら先生を見上げれば、にこにこと何時もの人好きする笑顔を向けられた。


ん?気のせい?一瞬先生の表情が違うように見えたのは見間違いだったのだろうか。



「っ!」


あれ?っと思っていると、私の肩をポンと叩き、さあ生徒会室へ戻ろうか。と私の背中をするりと撫でるように押され、図書室を後にした。



__お前もか、ブルータス。



…本当にボディタッチが過ぎる。背中を撫でられた感触に何かがこみ上げる感じがして、私は変な声が出そうになってしまった。ふう、危ない、危うく変な子認定されてしまうとこだった。




それにしても、何とかするって、どうするつもりなんだろう?



私はそのことに頭がいっぱいで、先ほど先生が素を出したことや、私をどさくさに呼び捨てにしたことなどすっかり頭から抜け落ちていたのだった。






「___っく、中々可愛い反応をする。もう少し大丈夫そうだな…」




考えに耽っていた私に先生の呟きなど聞こえるはずもなく___、




とりあえず問題は解決したのだと、安心した私はいつも通りに生徒会で仕事を終え、軽い足取りで帰ったのだった。







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