目覚め


 「......ここは」


 スライムに襲われてから半日後、学の意識が戻る。上半身を起こし周りを見ると辺りは物凄い量の血が散らばっていた。


 「この量の血はヤバいだろ、てか何で俺死んでないの?」


 普通なら死んでもおかしくない量の出血量だった筈だ。それが傷が少し塞がりかけており、血は止まっている。

 それに襲ってきたスライムがいた筈なのだから生きてるのはおかしい。それを考えると震えが止まらなくなった。

 学は、スキル『ラーニング』が発動していたのを知らない為、この考えに至るのはおかしくないのだ。


「と、とりあえず、またあんなやつが来る前に対策を考えないと」

 

 今後の方針として、まず人がいる場所に行く事が大切だろう。そして、衣食住の確保だ。これが出来ないと更にその先の方針まではたてられない。その為には、少しでもあんな生物に対しての対抗手段を考えないと。


 そこで、学はある事を思い出す。

先程のいや学にしたら先程の事なのだが、ステータスにあったスキル『ラーニング』についてを。


 学は、ステータスを思い浮かべる。そこには......



 name; 学




 種族; ヒューマン




 装備;


  武器 


  頭


  胴 地球のTシャツ


  腕 


  足 地球の短パン


  靴 地球のスニーカー




 スキル

  『治癒力上昇Lv3』



 ユニーク


  『ラーニング』 『鑑定』




 称号


  『神の悪戯に巻き込まれた者』 『集団転移に巻き込まれた者』 『記憶を消された者』



 「あれ、スキルが増えてる」


 そこには、学の記憶にはないスキルが増えていた。『治癒力上昇Lv3』これのお陰で助かったのだろう。だが、何故増えていたのか分からない。


 「やっぱり『ラーニング』だよな」


 学は、スキルが増えていた原因を『ラーニング』だと予想付ける。考えられる原因がそれしか思いつかないからだ。

 何とか『ラーニング』の詳細が分からないかとステータスを見る要領で念じてみる。すると、『ラーニング』の詳細が浮かび上がる。




 『ラーニング』


 ユニークスキルの1つ。あらゆる物事を学ぶ力を向上させる。


 権能


  スキルの習得スピードの向上


  見たユニークスキルを近い形で習得(その場合、使えるレベルまで落ちる・習得出来ないスキルあり)


  死闘を繰り広げた又は死の危険を一定量体験した事により新たなスキルを習得(大抵はその場を打開出来るスキルを習得・使用すると一定期間使用不可)


  死の間際、1度だけ生存させる為にスキルが発動する(使用不可)





 「やっぱりこれのおかげで助かったのか」


 スキルの権能の最後が使用不可になってる事からこれだと確信する。これが発動しなかったら学は、死んでいただろう。

 ほっとしたのと同時にもう二度とあんな状態になれないと学は改めて思う。その為には、このスキルを使いこなさないとならない。


 「まずはこのスキルの検証をしないとならないよな」


 学はそう思うが、この場で直ぐに検証出来るような事はない。ましては死闘を繰り広げるなんては、以ての外だ。そう思い、とりあえず学はこの平原をふらつきながらも歩く事にした。

 早く人がいる場所に行く為に。






 あれから数時間後、学は平原から森に入り、ますます人里から遠ざかるのではと思ったが以外にもあっさりと人が何度も通って出来たような道に到着する。

 そして、都合良く道の向こうから馬車が向かって来るのが見える。


 「あれは、おーい! たすけ......」


 声を張り、叫ぼうとした時だった。体から力が抜けたように倒れる。それはそうだろう。まだ、完全には傷が癒えてなく血も大量に失っているのだ。ここまで倒れなかったのが不思議な程だ。

 

 あぁ、そうか。俺って物凄い血を流していたっけ。


 そんな事を他人事かのようなに思い、馬車から誰かが駆け出して来るのを少し見つめ、学は再び意識を失うのだった。

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