第2章 誤算
Ver.5/第10話
「やっと、取れたー!」
プレイヤーバザーで見かけた見知らぬアイテムをまとめて購入し、〈しらべる〉を使っていると、残り2つというところで視界の中にアナウンスが表示された。
『スキル〈鑑定Ⅰ〉を取得しました』
『〈しらべる〉が〈鑑定Ⅰ〉に統合されました』
『Eランク以下のアイテムを採取・採掘する前に判別できるようになる』
【取得条件/メニューの〈しらべる〉を規定の回数実行する】
「これも成長するタイプなのか。でも、これで溜まってたガラクタや化石の〈鑑定〉ができるかな?」
今まで〈採掘〉で収集した中に、ガラクタと化石は山ほどある。
そのどれもが未鑑定のままでは用途不明だったため、家にある収納スペースの肥やしとなっている。
とりあえず、インベントリに残っていたものを〈鑑定〉してみることにした。
「え? 状態の悪い錆びたガラクタ?」
十数個入っていたガラクタを〈鑑定〉した結果、全て錆びたガラクタであることがわかった。
使い道は、〈錬金〉用の素材。どんなインゴットができるのかは、やってみないとわからないらしい。
ただ、気になる点がある。
状態の悪いと、わざわざ明記されている点である。つまり、中には状態の良いものもあるのでは? と、期待が持てるのだが、思っていたのと違う結果に、じゃっかん気が抜ける。
「おいおい……。この感じだと、化石も期待できそうにないな」
続けて、同じくインベントリに残っていた化石を〈鑑定〉してみる。
「質の悪い太古の骨、質の悪い太古の貝、質の悪い太古の枝……か。化石とは?」
こちらは石の要素は見当たらなくなってしまった。しかも、わざわざ質の悪いと付いてるところをみると、使い道は期待できそうにない。
ところが、その中にあって、異なった反応を見せるものが現れた。
「これは、質の良い太古のタネ? タネ? 植えられるのか? それに、低確率で使えるものが混ざってる?」
可能性は頭の片隅にあったが、少しだけ光明が見えてきた。
ガラクタも化石も、基本はゴミレベルのものしか出ないが、中にはレア物が混ざることがあるのだろう。このタネも、どれくらいのレア物なのかはわからないが、何かしら新しい展開を期待できるものかもしれない。
そう思えるだけで、今後も化石とガラクタの収集もできるというものだ。
しかも、この仮説を裏付ける決定的なことが起こった。
「お?〈鑑定〉に失敗しました?〈鑑定〉のレベルが足らないのか! ってことは、同じ化石でも、ランクが存在するってことだな!? いや、しかし、そうなると、さっきのタネは大したレアリティじゃないってことか……。それは、それで、ちょっと残念だな」
ふわっと一気にテンションが上がったが、すぐに事実に気づき、どっちつかずの微妙な感覚になってしまった。それでも、プラスマイナスで言えば、プラスの気持ちが強いだろう。
仮説としては、採取前に鑑定できるEランク以下のアイテムまでしか〈鑑定〉できないのだろう。そして、今までに収集していたガラクタも化石も、ほとんどがEランク以下の有用性の低いものばかりなのであろう。
「とはいえ、おそらく〈鑑定〉した回数が成長のトリガーだろうから、ガラクタと化石は別の意味で貴重品ではあるか……」
ソラマメも〈鑑定〉のレベルは上げられているようなので、採取の時の事前鑑定も回数に含まれるのだろうが、感覚的にガラクタと化石といった未鑑定品を〈鑑定〉した方が効果は高い気がした。
そして、こういった未鑑定のアイテムは、種類が非常に少ない。〈採掘〉によってガラクタか化石が収集できないうちは、クエストで稀に入手することがある程度だったのだ。
「とりあえず、リナとソラマメさんに、相談してみるか」
ちょうど、この後、会う約束があったので、一先ず家に戻って、残りの未鑑定品を〈鑑定〉して時間を潰すことにしたのだった。
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