Ver.3/第14話
「やっほー。新顔ってことは、ハル君のNPC関連でないならユキチちゃんでしょ? 久しぶり」
スズコが手を振ると、ユキチも手を振り返す。
「久しぶりです! ユキチ、ようやく参戦です!」
ユキチも見知った人物が相手だからと、軽く敬礼のポーズをとって返答する。
スズコがミコトとゴリを紹介し終えると、しばらく談笑タイムへと移っていた。そこで、ゴリが声をかけてきた。
「そうだ。ハルマ君。今度、自分の弟もGreenhorn-online始めるから、権限の登録お願いしてもいいかな?」
「え!? ゴリさん、弟いたんですね」
「言ってなかったっけか? うちもアヤネちゃんのところと同じで、弟の方がゲームは詳しくてね。前々からやりたがってはいたんだけど、年齢制限と受験とで、ようやくなんだわ」
「そうだったんですね。この前、開拓も進んで住人も増やせるようになってるから問題ないですよ。その気があれば、住人として拠点も造りますよ?」
「あー。その辺はどうだろうな? あいつも生産職やりたいようなこと言ってたから、もしかしたら自分で造るって言い出すかもしれんな」
「お! 生産職仲間!」
「あー。まだ、候補、だけどね」
「いやいや。候補でもいいですよ。戦闘面だと先輩らしいことは教えてあげられないけど、生産職方面ならある程度頼りにしてもらって大丈夫です!」
「ハハハ……。伝えておくよ。それじゃあ、また日にちが決まったら使い魔ででも教えるよ」
「了解です」
数日後、ゴリに連れられて現れたのは、モヤシという名の人物だった。
「でっか!」
ゴリも大きいが、弟の方が身長は高いだろう。ハルマは目の前の人物を見上げながら、ぽかんと口を開けてしまう。ただ、縦はモヤシの方があるが、横幅となるとゴリの方が3倍くらいあるように感じられた。
「は、はじめまして。モヤシです。よろしくお願いします」
モヤシは大きな体に似合わぬ、小動物のような動きで頭を下げてきた。
「こいつは体は大きいけど、自分と違って運動はまったくやってこなかったヤツなんだわ。まあ、でも、ゲームは好きだから、こっちの世界なら心強いくらいかな?」
ゴリは、少し歳の離れた兄らしい余裕をもって弟を受け入れていることが伝わってくる。そのことにモヤシも気づいているのだろう。兄に対する反抗的な雰囲気は微塵も感じない。
「じゃ、スタンプの村に行きましょうか」
「おっきいねー」
モカは開口一番、額に手を当て見上げながら告げていた。
ゴリの弟がやって来るからと待ち構えていた面々は、その身長の高さにハルマ同様ぽかんと口を開けて見上げてしまう。
その中には、つい先日やってきたばかりのユキチの姿もあった。つまり、現在スタンプの村に入ることのできるプレイヤーが、全員そろっているという状況である。
モヤシは唐突に囲まれ、見上げられるという奇妙な感覚に居たたまれなくなったのか、ゴリの背後に隠れるように下がると、やはり小動物のような動きで丁寧に挨拶を述べるのだった。
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