Ver.2/第28話
続く第2ラウンドも変化は見られなかった。
ダメージを受けて、しばらくの間、身動きが取れずにいたフォリートレントだったが、再び止まることを知らない連続攻撃に転じたのである。
こうなるとハルマのガード率100%に頼る他なくなってしまう。これを耐えている間に〈贋作〉のヤタジャオースは活動限界を迎え消えてしまった。
しかし、第1ラウンドの時と違いが出てきた。
どういうわけか、フォリートレントの攻撃に最初の時ほどのインパクトがなくなってきたのである。
「あ……。さすがにこれだけ連続してガードしてたら、ドレインが効いてきたのか。そうだよな。ダメージドレインもかなり溜まってるはずだ」
ハルマが唯一覚えている魔法、ドレインには、魔法以外にもパッシブスキルが備わっている。
『ダメージドレイン/攻撃をガードした時、受けるはずだったダメージを蓄積し、ダメージリバースを使うことで任意のタイミングで放出することができる。戦闘が終了すると蓄積していたダメージは消失する』
『ドレインの心得/攻撃をガードした時、相手のステータスをランダムで2吸い取る。戦闘ダメージを受けると解除される』
普通であればガードすること自体難しいため、何ということのないスキルである。しかし、ガード率100%の人物が使うと本領を発揮することになる。
2回目の連続攻撃が止み、ぐったりとしたタイミングを今度は外さず、溜めに溜めたダメージを解放する。
「〈ダメージリバース〉〈刺突〉」
数少ない片手剣の一点集中型スキルを使い、呆気なくフォリートレントを屠ることに成功したのだった。
「ふー。相性のおかげで何とか勝てたー。あの状態異常攻撃が属性ダメージ系だったら無理だったろうなあ。ユララのおかげだ。サンキュ」
「ユララもお役に立てて嬉しいです」
ゴーゴンくらげのユララは、ヘビの手足をクネクネ動かし喜びを表現する。
「まあ、何はともあれ、他の皆もご苦労様。今回も助けられたよ。それにしても、俺の場合はガード率100%あるから何とか耐えられたけど、他の人はどうやって勝ったんだろうなぁ?」
ユララだけでなく、他の面々にも同様に礼を言う。今回はハルマの功績が一番大きかったはずなのだが、それでも自分の手柄ではないと思うのが彼の変わらぬ部分であろう。
思っていたよりもだいぶ苦戦したが、何とか勝利することができたため、程なくアナウンスが表示された。
『エリアボス〈フォリートレント〉の討伐に成功しました。アウィスリッド地方に自由に進むことができるようになりました』
「さーて。どんなエリアだろうなー」
この時、ハルマはまだ知らない。この先が他のプレイヤーが足を踏み入れたことのないエリアであることを……。
フォリートレントの攻撃をしのげたプレイヤーが、かつていなかったことを……。
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