雀川亘のモーニングルーティン
なんかかきたろう
雀川亘のモーニングルーティン
完璧な朝を迎えることは、人生にとって一番大事なことだ。いや、人生にとって大切なのではない。完璧な朝こそが人生なんだ。雀川は澄みきった空気の中で確信を得たようにうなずいた。
朝5時 たいていの人はまだ床についているこの時間に、雀川は目を覚ます。朝に起こされるのではなく、雀川自らの精神でもって目を覚ますのだ。この行為によって雀川自身こそがこの体の支配者であることを体に再定義するのだ。雀川はこの行為のことをドミネートと呼んでいる。体の隅々まで意識を集中させてドミネートを済ませる。右手は右手らしく、左足は左足らしく動く。ドミネートは雀川の心に安らぎと恍惚を与える。
言い表すことのできない満足感にしばらく身をゆだねた後は、府k緑色のカーテンをあけ、朝日と対面する。雀川は神妙な面持ちになってつぶやく。
「今日もお前は朝日か?」
すると太陽はこう答える。
「私こそが朝日だ」
と。
もちろんこの会話は現実に行われているものではなく、雀川の妄想によって作られた会話だ。しかし雀川本人の中では、他紙kに太陽とかいっをしているのだ。
「朝日の煌めきの持ち主である太陽よ、ならばお前に問う。何故お前は私たちを照らすのだ。」
太陽は答える。
「世界を循環させるためだ。」
「ではなぜ世界を循環させる必要があるのだ。」
「お前に行ったところでわからぬだろう。おごり高ぶった人間よ」
このように会話が続いていく。雀川はこの行為のことをミーティングと呼んでいる。
ミーティングを済ませると完璧なコーヒーを飲む。雀川自身が厳選したブレンドコーヒーをバッハの旋律に乗せていただく。
7時半 雀川の朝は続く……
雀川亘のモーニングルーティン なんかかきたろう @nannkakakio
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