第十八話 朝からみんなが挙動不審でした
季節は六月、しとしと雨が降る
それに大好きな散歩に行く時に
早く雨やまないかなぁ……。あたいは毎日ヒメ神様に祈っているが、『
そんなある日の朝のこと。新田家のみんなはおうちにいるのだが、なぜか
はっ! まさか寂しがり屋のあたいに黙ってみんなで出かけちゃうとか? あたいは玄関先でみんなが出かけられないよう、自分の体をバリケードにしてゴロンと横たわった。
さぁ、出かけられるものならば出かけてみなさい。
その後、掃除中のお母さんにあたいはあっさり排除されてしまうのであった。
◆◆◆
結局みんなが外出しないまま、夜を迎えた。昼間のあれは結局何だったのだろう? あたいは首をひねる。
ところであたいのサークルがある部屋はリビングと可動扉で
「アーンアーン(あたいを
あたいが鳴くと隣の部屋から陸くんが現れた。
「さぁ、もも行くよ!」
あたいは陸くんに抱っこされ、電気が消されたリビングに連れてこられた。
パッと電気が点くと、テーブルの上には『Happy Birthday もも』とメッセージが書かれた犬用ケーキ、それにあたいの大好物の鶏じゃが(塩分超控えめ)が並んでいた。
うん、新田家のみんなとなぜか幼馴染の陽菜までいるね。
「「「「「ハッピーバースデートゥユー♪、ハッピーバースデートゥユー♪、ハッピーバースデーディアももちゃん♪、ハッピーバースデートゥユー♪。ももちゃん、一歳のお誕生日おめでとう‼」」」」」
みんながあたいのために歌ってくれる。そうか、今日はあたいの誕生日だったんだ! みんなが挙動不審だった理由が分かり、あたい、ホッとしたよ。
その後、みんなに代わる代わる抱っこされ、なでなでされた。そういえば前世でも誕生日には飼い主に祝ってもらったっけ……、懐かしいなぁ。こんなに美味しそうなケーキと鶏料理がいただけるなんて、あたい幸せだよ。
「アォーン(ありがとね、みんな‼)」
あたいは巻き尾の尻尾をブンブン振って喜びを表現する。
「ももも喜んでるねっ!」
あたいの尻尾フリフリを見て陽菜が笑っている。
「ワォン(いただきまーす)」
あたいはさっそくケーキと鶏にむしゃぶりついた。もちろんみんなも人間用のケーキとチキンをおいしそうに食べてたよ。あたいには濃い味で食べられないけどね。
◆◆◆
あたいのお腹が満腹になった頃合いで、みんながゴソゴソ用意し始めた。
「じゃあももちゃん、まずはあたしからのプレゼントだよ!」
陽菜はあたいが今付けている首輪を外し、真新しい首輪を付け直してくれる。あたいによく似合う、可愛らしいデザインだ。
「この間ママとヨーロッパへ商品の買い付けに行った時に、首輪とリード用のリボンテープを買ってきたの。きっとももちゃんによく似合うだろうなあって……」
どうやら陽菜は向こうで買ってきたリボンテープを使って、大和田ママと一緒にあたい用の首輪とリードを作ってくれたみたい。うん、凄い
「アォーン(陽菜、ありがとう!)」
続けて陸くんがリスの(プープー)おもちゃをプレゼントしてくれた。
これもあたいが一番好きなおもちゃ……なのだが、つい先日あたいが遊びすぎてリスが隠れる木の根っこ(?)と全てのリスの中綿をほじくり出しちゃったのだ。陸くん、お
さらに妹の結衣ちゃんからは美味しそうな犬用おやつ、お母さんとお父さんからは寝心地のよさそうなあたい用のベッドをもらった。結衣ちゃん、お母さん、それにお父さんもありがとね。
あたい、幸せだなぁ……。今日はこの家の子になってから一番嬉しい日だ。あたいもみんなに恩返しできるよう、これからも頑張るね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます