The Red-Blood Union
Scene.089
The Red-Blood Union
大都会の只中。見渡す限りの高層ビル、光輝く夜景、血のように赤いワイン。そして、唸るチェーンソー、響き渡る悲鳴、飛び散る鮮血。
「うんざりだわ……」
「良い映画じゃないか、八〇年代のくだらない物質社会を上手いこと皮肉ってる。大都会とチェーンソー、何とも言い難いミスマッチだ」
「そういうのを悪趣味って言うの」
映画へ誘われた。見せられたのは少し昔の映画だった。彼好みの。私たちは、いつしか不気味なデートをする仲になった。彼は優しいし、顔も悪くないし、私好みのスマートな男性だ。ただひとつ、趣味が狂気染みていることを除いて。
「この後は? まさか私をチェーンソーでバラバラにするんじゃないでしょうね」
「まさか。君の店に行こう。赤ワインと、ハンバーガーでも買ってね」
「やっぱり悪趣味だわ」
これにて、了。
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