Human in the Ice.

Scene.055

 Human in the Ice.


 海王星の公転軌道の外側には、オールトの雲へと連なるエッジワーズ・カイパーベルトと呼ばれる寒々しい領域が存在する。この大小様々な氷塊が浮遊する円盤状の領域から、私たちは運ばれてきたと謂う。

「え? 何、宇宙人なの、私たちって。君だけでしょ?」

「失礼すぎるぞ」

 ――地球の水は何処から来たのか。勿論、地球が形成される以前の、この星の素となった微小な塵の雲の中にも水は閉じ込められていた。しかし、原始の地球には太陽系外縁部から大量に凍った隕石が降り注いでいる。この水は衝突のエネルギーや火山活動によって熱せられ、水蒸気となって地表に噴き出す。

 そう、僕たちの体内の七〇パーセントを占める水分は、実は地球外から来たものかもしれないのだ。

「今日の僕たちの体には、その“水”が流れている」


 これにて、了。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る