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イオリミヤコ
コバルト・レポート
Scene.001
コバルト・レポート
著書の中でマックス・ウェーバーはこう述べている。
“カエサルを理解するために、カエサルである必要はない”
だが、世の中には理解できないものも存在する。四ヶ月前に私の元を訪れた彼は、小さな声で言った。
「助けてほしい」
そう訴えられても、私は精神科医でもカウンセラーでもない。私は街の隅っこでカフェを営んでいる。カウンターで縮こまる彼に、暖かい紅茶を出した。
彼の話は刺激的だ。自分は連続殺人犯であり、ナチュラル・ボーン・キラーズのファンで、タバコは吸わないらしい。好きな犬はブルテリアで、ビールが苦手だ。でも、私はタバコを吸うし、お酒も好きだし、連続殺人犯ではない。
「それでも友達になってくれる? 明日も来てくれる?」
「自分と違う人間がいると安心する」
そう答えて彼は小さく笑った。
これにて、了。
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