2通目 - 遺したもの
こんばんは。2通目のお手紙です。
突然ですが、私は今、少し悲しい気持ちでいます。
この間、ある若い方が亡くなりました。
それは、私の友人でも、知人でも、ましてや家族でもない方ですが、
私はその人を、よくテレビで見ていました。
しかし、すごくファンだったというわけではありませんでした。
だから、自分が未だに、ふとその人の死を思い出して悲しい気持ちになることに、驚いています。
年が近かったからでしょうか。何の前触れも無かったからでしょうか。また、自ら死を選んだらしいということも、関係しているかもしれません。
その人の死は、私の心の深い所に、何かを遺していったようなのです。
これは、その人が死を以て最後に遺した、何かとても大切なことのような気がするのです。
話は変わりますが、私は、昨年の今頃、猫を飼い始めました。
その子の名前を『唯生(いお)』と名付けました。
『唯ひとりの大切な存在。私と一緒に生きていこうね。』
そういう、願いのような、約束のような、そういったものを込めて名付けました。
私はその頃、色々あって、すごくボロボロな状態でした。
その猫だけが、私の生きる希望でした。
でも、ボロボロ過ぎて、『一緒に生きていこう』と誓ったその子を置いて、遠くへいってしまおうとしたことがありました。
いくのを止して、帰ってきて、「ごめんね、ごめんね」と泣いて抱き締めながら謝りました。
猫はいつもの通り、「なーん なーん」と鳴いて私に甘えました。
それ以来、『私はこの子を置いてどこかへいったりしない』と固く決心した次第です。
これから私は、あの人が何を残したのか、考えなければならない、と思います。
この子を生きて、考えなければならない、と。
なんだかしんみりしてしまいましたね。
次のお手紙は、もう少し明るいお話をしましょうね。
それでは、また、次回。
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