僕の隣にはメリーさん。
常闇の霊夜
彼女はメリーさん。
僕の名前は未那、
「大丈夫かな・・・兄ちゃん」
「よっ」
「あっ!メリーさん!」
部屋でのんびりしていたら、メリーさんがやってきた。メリーさんは一週間前くらいからよく僕の部屋に遊びに来る妖怪!悪い子じゃないよ!・・・でも何と言うか・・・とにかく口調が悪い。初めて会ったときは兄ちゃんが本気で封印しにかかっていった。でも軽くあしらわれていた。
「何だぁ?兄貴が疲れてるだぁ?ま、そんなこともあるだろうよ」
「でもさ、僕にも何かできないかな?」
「はぁ・・・じゃ、漢方でも買いに行くか?なんつって」
「そうだ!」
「え、何?」
兄ちゃんを元気付けるには美味しい物を食べさせればいいんだ!でも何が良いんだろう・・・兄ちゃんお肉好きだしな・・・!そうだ!
「今度お肉を買いに行こう!」
「おいおい、正気か?あそこの肉とかマジヤバいぞ?」
「そんなに!?じゃあ買いに行こうよ!メリーさんも来る?」
「あのなぁ・・・まぁいいや、一緒に行くか」
「よーし!それじゃあしゅっぱーつ!!」
お金をもって、いざ、お肉を買いに・・・ごう!気を付けないといけないのが町には色々な妖怪がいます。例えばあの黒猫!二又に分かれた尻尾は猫又の証!気を付けないと食べられちゃうんだって!他にもほら!そこには妖怪一つ目小僧!今はなう?でやんぐ?な若者に人気のDJをやってるんだって。DJって何なんだろう?
そんな事を考えていると、メリーさんに後ろ首を掴まれる。
「おい車」
「あっごめん!考え事してた」
「気ぃ付けなよ・・・お前の身に何かあったらヤバいのは俺だからな・・・」
「?」
よくわかんないけどずんずん先に!とか言ってると出た!妖怪入道車だ!・・・兄ちゃんが言うには互いの利点?が完全になくなってる弱い妖怪なんだって。よくわかんないね。
「っと、ここだ未那」
「ここがメリーさんの言う美味しいお肉が売ってる所!?」
「・・・まぁ、そんなもんだな。入るぞ。俺の手を離すなよ」
「?うん」
何だか不穏な一言・・・中に一体何がいるんだろう・・・そう思いながら中に入るとそこは迷路でした。
「何これ!?面白い!」
「面白がるな!この迷宮で一度はぐれれば二度と出れなくなる可能性すらあるんだぞ!」
「えぇっ!怖い!」
「だろ!?だから手を離すなよ」
そしていっぱい階段を上って、下がって、扉を開けて、閉めて、グルグル回ったりもしたけど、遂に店の奥にたどり着いた!
「よぉ。糞爺」
「あぁ?クソガキか何か用か」
「俺に用は無いんだけどよ。未那がどうしても来たいって言うんでな・・・連れてきたわけよ」
そこにいたのは大きな蜘蛛のおじさん!足がいっぱいあって色々な葉っぱとかを混ぜてる。何作ってるんだろ?しかも何だか面白そう!
「あー・・・要件があるならさっさと言え、俺は忙しいんだ」
「そうなの?!じゃあお肉ください!」
「あいよ。幾ら持って来てる?」
「これ!」
今日は奮発して五百円も持ってきた!これで一番いいお肉を買えるよね!・・・と思ったんだけど、蜘蛛のおじさん、何だか困った顔。どうしたんだろう?
「あー・・・おい五百円しか持って来てないのか?」
「うん!」
「・・・」
メリーさん、蜘蛛のおじさんとお話し中みたい。何を話してるんだろ?それよりお肉まだかな・・・
「おい未那、一回話聞け」
「?何?」
「あー・・・悪いね、五百円じゃなーんも買えん」
「・・・えっ?」
そんな・・・五百円あれば色々な贅沢が出来るのに・・・まさか五百円で買えないものがあるなんて・・・がっくり。
「だが・・・ここはお前の兄貴に免じて、一番安い奴をただで譲ってやる。・・・この五百円は自分のために使いな、ぼっちゃん」
蜘蛛のおじさんは何故かお肉をくれたし、お金も返してくれた。何でだろ?兄ちゃんがそんなに偉いのかな?
「ねぇ、兄ちゃんってどれくらい強いの?」
「・・・いや・・・お前の兄貴と言うよりは・・・」
「その・・・兄貴の師匠の方って言うか・・・」
「?」
兄ちゃんの師匠・・・
「何で骸が関係してるの?」
「・・・坊ちゃん。それは言えねぇ。・・・大人の世界って奴だ」
「そうだ。・・・もう少し大きくなったら教えてやるよ」
「ふーん・・・」
大人の世界だって。よくわかんないね。いつもは何かおねーさんに変な服着せてる変な奴だけど。(兄ちゃんのベッドの下で見つけた本みたいな服だった!・・・冬なのにほとんど服着てないから、寒そうだなって思った)凄い人なのかな?
「あー・・・ほれ、とっとと帰んな・・・坊ちゃんの兄貴も心配してるだろうよ」
「そうだね!じゃあね!蜘蛛のおじさん!」
「あぁ。もう来るなよ!」
「よし帰るぞ!こんな蜘蛛くさいところに一秒でもいたくないわ!」
「ああそうかい!クソガキのしょんべん臭い臭いが消えてセーセーするわ!」
それにしても、二人は何でこんなに機嫌が悪いんだろうか?・・・隠してたおやつを黙って食べちゃったのかな?あの時は本当に怖かったなぁ・・・兄ちゃん視線だけで人殺せるんじゃないかってくらいの奴だったよあれは。
「さて・・・コレ調理するんだろ?じゃあさっさと帰ろうぜ、兄ちゃん帰ってくるぞ」
「そうだね!」
急いで家に帰ることにしました!そして兄ちゃんより早く帰ってきたので、お肉を料理します!
「・・・でもどんな料理が良いのかな?」
「とりあえず焼け。大体焼けばなんとかなる」
「そうだね!じゃあフライパンを持って来て・・・」
重い!意外にこれ重い!兄ちゃんと母ちゃんは毎日これをもってあんな面倒なことをやっているのか・・・凄いなぁ・・・僕にはとてもできない。
「油をひいて・・・火!」
「・・・ここシステムキッチンだから火は厳密に言えばつかないけどな」
「??????」
「あ駄目だキャパシティーオーバーしとる」
あったかくなるには火が必要なのに火が付かない・・・?どういうこと?じゃあ何でこれで物が焼けるんだ・・・?うーん・・・
「おいひっくり返せ!焦げてる焦げてる!」
「ハッ!えーい!」
「おい威力たか・・・あっ」
「あっ」
しまった・・・強く振りすぎた・・・って今ドアを開ける音が・・・!兄ちゃん!?
「帰ったぞー・・・」
「兄ちゃんドア開けないで!」
「え?どわっぷ!?」
お肉が兄ちゃんの顔面目掛けてぶつかった!痛そう!と言うかもしかしてこれ不味い?兄ちゃん怒ってる?
「・・・兄ちゃん?」
「何だ」
「・・・怒ってる?」
「ああ」
やっぱり!メリーさん・・・いない!逃げた!どうしよう・・・何て言おう・・・「おい」
「はいっ!」
もうダメだ・・・!
「あのなぁ・・・俺は別に肉買ってこようが、俺に肉ぶつけようが怒らない。だがな、今のでお前が火傷したらどうするんだ?」
「え?」
「ん?どうした」
「その・・・本当に怒ってない?」
「あのな、俺が怒ってるのはな、お前が勝手にこれを使ったからであって、別に肉ぶつけられたからでも、何か色の悪い肉を買ってきたからでもないんだぞ?」
「・・・じゃあ何で?」
「お前が怪我したらどうするんだって話」
僕が?・・・そう言えば兄ちゃん、前に凄い火傷負ってきたことあったっけ・・・
「良いか?せめてこれから料理するときは俺と一緒にする事。分かったな?」
「・・・うん」
兄ちゃんはニッコリ笑った。
「ならよし!今日は俺の奢りで飯食いに行くぞ!」
「本当!?」
「ああマジだよ!あの骸の奴ボーナスくれたんでな!ちょっといい店に行くか!」
「うん!・・・これどうしよ」
今から美味しいお肉を食べに行くのにお肉は持って行けないよね・・・
「おいメリー!いるんだろ!」
「・・・何でばれた?」
「うわっ!?いたの?!」
気付かなかった・・・見つけた理由に関して、兄ちゃんは何か空気の乱れ?がどうとか言ってた。凄いなぁ・・・兄ちゃんは・・・
「お前はこの肉をどうにかしろ」
「やだよ」「やれ」
兄ちゃんは今はメリーさんをぼっこぼこに出来るって言ってたけど、結局どうなんだろう・・・あ、兄ちゃんがメリーさん殴った。
「痛ッてぇなお前!ふざけんじゃねぇよ!?」
「あぁ?やるかぁ!?」
喧嘩が始まっちゃったよ・・・っていつの間にかハンザキ様がいる。チェーンソーがかっこいいんだよ!でも何しに来たんだろ?
「ハンザキ様!何してるの!」
「・・・」
そうだハンザキ様喋れないんだった。ってメリーさんが二人!?まさか影分身!?忍者?!
「メリー。帰るよ」
「ゲッ、メリーかよ・・・ったく、しょうがねぇぐべらぁっ!?」
「はーっはっは!隙ありィ!」
大人げないぞ、兄ちゃん。どうもあのハンザキ様の肩に乗ってるメリーさんはいつも隣にいるメリーさんとは違うみたい。
「じゃあね!また遊ぼうね!」
「待ってるぞぉ・・・?」
さてと・・・
「帰ったな」
「うん」
「・・・肉喰いに行くぞぉ!」
「イエーイ!兄ちゃんサイコーっ!」
こうして二人は美味しい肉を食べることに成功したのでした・・・めでたしめでたし。
ま、二人の冒険自体はまだまだ続くけど、この日記に関してはこれまでって事。
・・・一体次はどんな冒険をするのかな?
またの機会をおm「あ!骸!」げっ気付かれたそれではドロン!
僕の隣にはメリーさん。 常闇の霊夜 @kakinatireiya
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