『人は右、車は左』

人は右／車は左／山茶花の咲く先を追い／左折三遍

　人は右／車は左／山茶花の咲く先を追い／左折三遍

　近代における革命政府の幾つかは、別の誰かが起こした革命により倒された。ブルボンでもオルレアンでもなく資本の名の下に行われた革命は、労働者の作る新たな秩序によって倒されたし、独裁者は法と正義によって倒れた。歩兵と戦車の戦列を追えば、無数の血の花が残るのみだ。

　かつてカントは、学問から娯楽へと零落した哲学を再び学問の座に戻すため、分厚い但し書きを出版した。

　その後の哲学がどう変遷して来たかは、御存知の通りである。文学にせよ、音楽にせよ、どこでも同じことは起きているのだろうが。

　その道沿いには赤薔薇よりかは淡い、山茶花が咲き並ぶ。