隔り世の対岸の道向こうの知らない人に見覚えがある


 隔り世の対岸の道向こうの知らない人に見覚えがある



 幽世かくりよの対岸とは現世うつしよ、つまり此の世のことだ。道路を挟んだ暗いショーウィンドウに映った自分の姿を眺める情景。


 認識に関わるとは、時に主観ではなく実存を意味する。つまり推測ではない、ということだが、その根拠は「見覚えがある」という程度の曖昧なものに過ぎない。鏡ならぬガラス窓に映る薄暈けた分身は、客観視した自己の不確かさを描いたもの。

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