人は右/車は左/仏の座/雪解け水に踏まれて沈め


 人は右/車は左/仏の座/雪解け水に踏まれて沈め



 「仏の座」が三句目に来るのは、春の七草だろうか。

 春の日差しの下、雪解け水に泥濘んだ野原を、人が右、車が左に、きっちりと分かれて進む光景はシュールだ。白線やガードレールがあるわけでもないのに、人も車もルールに縛られている。

 蓮ならぬホトケノザは、泥水に浮かぶことはできない。右半分を靴跡、左半分をタイヤ痕に潰されたホトケノザが、泥水の底から人と車を嘲っている。

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