幽憤

幽憤



幼気ないつぶらへ


砂塵に灯された熱波は

か弱き鈴の臍の緒。

顕れただけの屍骸、

引き延ばしてひとしきり、

空匣の過度に

凍てついて乾かす日々


絡ませた足高蜘蛛の記憶の

輪廻のはじまりとおわりを

溢れ出した消火栓を、填めて。


アナタも私も耄碌した双葉

年月を数えてながら行く

こそばゆい微風に、

トルマリンの化粧を擁き

松虫も共に

騙しのマニュアルを

読み解きながら


君は底に要るのだ。

横抱きの嘘を味わい咀嚼する

彫像になりかけた僕は

猥談を憶えては、

歪な緑青を嗅ぎ取り

マクラメのほつれどきを足先で


微量の鱗粉が、或いは。

立派な大人になるとは。


蛇(くちなわ)を背骨から頸椎に模造して

もう騒がないでいい、

あきがあらわれるので。


ぴんと吊るし挙げる

焦がれてやまない老弱の道連れを

引き寄せては

逸時の本棚に終われた

なにもしなくても散ってしまう

隠し部屋への愛花

穢れも亡くして秋が露わに


それはいつかに涸れ葉輝。

儚いだけの視界を彩り乍、


愛も、窓際の彼方に想えば

人はそれを美しいと刻まれて

離れないパラフィンに揺らめく


遥か也、黙祷と、消ゆ

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