亊刄杳窕2。詩、コトバにははるかに遠いさま。

詞梳記(ことばとき)

余白の残弾

筆洗で描き増せるイロハを贈る


蓄音機の予報。五線譜のモノクロが眸に係る

今も昔も変わらない世に浸る薄紅色の午後に


口伝の名が刻まれる、

亘しのかいなで彼方のうたを。

ねえ、聞こえていますか


タイプミスとも思える桃色癖の閉塞感に好い

五等日の透ける海を模倣した青いベンチに澄む

桜入りのカクテルをたぶらかし足先まで干たし

潤む過去の深淵に広がる感情を堕とした、みな底。


ぽつり、

行く末のロマンスは有りえますか。

今日もあけすけに風が泣く、

私を置き去りにして


祖の遺言は何処からか未来をも犯す空で、囀る小鳥の番いは

夢物語は終わりに向かって、未来を奔らせる筆先と相成って

今で生み出した詐病瑕を庇い被う、あの日見た最期の夕陽

誰か、捕まえた時を奪って、今を貪り喰らうは必然でも、


一枚に剥枯れた花紙を挙げては大層送る、

安上がりな葬列をみずから捧げます。


(ココア共和国6月号 電子版、投稿詩佳作集Ⅰ 掲載)


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る