希みへ

千切れて仕舞った雲間に覗く天の架け橋すら救えない

此処はおわりがみえない苑。空の極、痴情


朱色の帯が滲んで透けるバタフライを知っているか

球体から瘡蓋が死んでいく、瞬きを覚えていると

薄い川は小さくなっていく、潤いを垂らしながら

身から零れる錆びた魂動が聞こえてしまうか

赤裸々に跳ねやがる、飢えた者たちの放蕩癖に

直に握り締め震わせるかっこわりいタクトで刻め

最期の言の葉が魅せる時、緞帳に息吹が打ち寄せて

新たな喇叭が空を白く塗り手繰り、轟く稲光、打たれ歌う

そこに苔むした庭石に腰を下ろす天女が居る

小鳥がざわついて、季節を知ら占める滲んだ道に、

赤い華 揺れて 魅せて、ついに照れた。


きづいていたのか

溢れていた


此処は何処なのだろうね

問いかけてみるが堪えもなく

風が和いでは ラクに私を刺し殺す光

煩いだけの昼顔が嗤う

頭痛が引き起こす灼熱感、駆け昇る

壊れたプレーヤーは幾度も針を擦振り下ろす

輪廻、ただ歪んだままで「あいして」


スナノウミを浴びる蝶々の群れを方舟は何処かに運び去り

プラグの満たない氷漬けの実が守ってる砂糖菓子の起源とは

なお、理想も無い。

食卓は揃っている。

銀の鈴には煮詰まったあぶく、掬われ棄てられた

薄気味悪いケセラセラ。いまかいまかと滴らせる舌

薬莢から引き抜かれた雀の涙を煮込んだものども

あと少しの旅愁に酔いも狂う、

芳香は微かに刺激するだけでも飲み下し朝が来れば思い出す

オトシモノなくしたもの。


私たちはすでに待っています

魂を喰らい合う餓鬼は脆くも焼け爛れた園の陽に

華は微笑みを絶やさず描かれた幸せは永久にともに

ありきたりて、

つまらなく白紙、

硝子のてのひらは憐れな文様を握るあかの水底に沈む私を

模倣していた、かの、うつくしき陽と知って。

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