『小さなお話し』 その111  

やましん(テンパー)

『真っ赤な夜』

 『これは、すべて、フィクションです。』


        🚒



 コンビナート方向のお空が、真っ赤です。


 しかし、これは、実のところ、よくある話です。


 ちょうどよく垂れ込めたお空に、高い塔から燃え上がる炎が、反射しているのです。


 『フレアスタック』と呼ばれるもので、余ったガスを燃やして無害化するのだそうです。


 美しいと言うよりは、かなり、不気味です。


 事故による火事なのかどうか、見る場所にもよると思いますが、素人には判断付きかねることがあるわけです。



 さて、ある晩のこと、ノミ=スギー星人の地球監視員は、宇宙空間から、そうした、地球のコンビナートのひとつに接近しておりました。


 彼らは、地球生物のような肉体がありません。


 その実体は、ガスだったのです。


 もちろん、宇宙船も使わなくてよいのですが、たまたま、同じ当番に当たっていたのは、たばこ星人で、彼らには、円柱のような、つまり、たばこみたいな肉体があります。


 だから、宇宙船が必要でした。

 

 わるーいことに、この、たばこ星人は、ノミ=スギー星人が、嫌いでした。


 個人的な恨みではありません。


 たばこ星は、かつて、ノミ=スギー星の侵略を受けたことがありました。


 周辺の宇宙人の介入で、お互い絶滅はしなかったのですが。


 いまだに、互いに許し合えない、なにかがありました。


 『君は、悪いやつではないが、きみの星は罪悪だ。永遠に罪悪だ。そうだろう。』


 と、言われるのは、あまり、気持ちよくなかったのです。


 たばこ星人は、高い、真っ赤に燃え上がる塔の真上に来たとき、緊急脱出用の『あな』を、ぽかりと、開けました。


 自分は、体があるので、ベルトで固定していましたが、ガス体の、ノミ=スギー星人は、不意をつかれ、対処できませんでした。


 地球の大気よりかなり重たいノミ=スギー星人のガス体は、燃焼塔に落っこち、燃えました。


 炎は、さらに、激しく、まっ赤に燃え上がりました。


 その炎は、強烈なエネルギーを解放しました。


 ノミ=スギー星人は、こんな状況でも、核崩壊するのです。


 地球のこの日本という国は、思わぬ大災害にみまわれたのです。


 コンビナートは、全滅し、その周囲の街も、壊滅になりました。


 やましんちは、となり街でした。


 お空は、一面真っ赤になりました。


 火災は免れましたが、やましんさんは、ねこママの店に逃げていました。


 『どうなってるの?』


 『まだ、わからないごき。大将が情報分析してるごき。しかし、宇宙ごきではないらしいごき。正体不明の、透明宇宙船が侵入したらしい、との、情報があるごき。爆発寸前に、猛スピードで、大気圏から、離脱したみたいごき。こいつが、攻撃した可能性が、高いごき。』


 『宇宙ごき以外にも、地球に関与している宇宙人とかがいるわけかい?』


 『そうごき。『宇宙連合』と、『宇宙連盟』が、地球保護を名目に、争ってるらしいごき。ほかに、『銀河連盟』も、このふたつから、地球を保護する運動をしてるらしいごき。さらに、『大天の川連絡協議会』も、最近、それらからの、地球保護を叫んでいるようごき。他にも、もっと、大物が地球保護を狙ってるらしいごきごき。『アンドロメダ連盟銀河会』ごき。』


 そう、ごき少佐が解説してくれたのであります。


 『それだけ、地球は危ないわけか。』


 『そうごき。終末ちかしとみたら、みな、動くごき。争奪戦ごき。保護の名のもと、すべて、奪う。これ、常識ごき、ごき。』


 『おそろしやあ〰️〰️〰️❗正義の味方はいないのかあ?』


 ごき少佐は、あっさり、言いました。

 

 『みな、正義の味方ごき。』




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『小さなお話し』 その111   やましん(テンパー) @yamashin-2

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