エピローグ
「………皆、ごめんね。そしてありがとう」
現在、魔王城の地下の広間。そこに珠希たち異世界転移組全員が揃っていた。
無事に人間の王も、復活する前の魔王も完全に滅ぼし、世界は今一度平和となった。
あのインキュバスだが、まだオスクロルが力のないサキュバスだった時に無理やり手篭めにされそうになり、一種のトラウマ化しており、現在でも思い出すだけでも体が震えるという。
一度勇者に倒され、死んだと思われていたが、実は精神体でずっと機会を伺っていたのだと、珠希の魔眼は判断した。
「うわぁぁぁぁん!!珠希様ぁぁぁ!!いっちゃやーーですぅぅ!!」
「……落ち着けって、向こう行ったら直ぐに帰ってくるから……ほら、折角行き来できるんだし……」
珠希の胸に抱きつき、わんわん泣いているリリア。実際に目の前で
「これ、リリア。あんまり旦那殿に迷惑を掛けるでない」
「じゃあフォルカウスさんは寂しくないんですか!?」
「あほたれい!んなわけあるか!我だって離れるのは嫌じゃあ!」
ピシッ!と珠希に抱きつくフォルカウス。どことなくクラスメイトの視線が冷ややかになった。
「………二人とも、あまり珠希くんに迷惑を掛けたらダメだ」
「リリア様、胸なら私が貸しますから……」
フォルカウスの首根っこを掴んで引き剥がすミリーナとリリアを抱きしめる完全に堕天使かしたルシフェラ。
「珠希様、私達はいつでもお待ちしてますので………」
「あぁ。待っている」
「ありがとう二人とも」
「それじゃあ今から送還の術を発動させるわ。なるべく人のいないとこに飛ばすから、後は頑張ってね」
オスクロルが手を振ると、床にびっしりと描かれた魔法陣が輝く。
「ありがとう、異世界の勇者達、それにーーー珠希くん」
オスクロルが最後に珠希へ笑顔を見せると、次の瞬間、珠希の意識は刈り取られた。
「………んっ」
ピクリ、と体が、脳が覚醒し、上体を起こす。
「ここ……は」
キョロキョロと周りを見渡すと、床に倒れているクラスメイトや、落下防止用のフェンスが見えた。
どうやら屋上に送られたようだ。
「……美波」
「……んぅ」
近くで寝ている美波のゆさゆさと体を揺らし、意識の覚醒を促す。
「……あれ、珠希くん……」
「あぁ、起きれるか?」
「……んっ、大丈夫……」
手を貸しながら美波を立ち上がらせる。
「……ここ」
「あぁ、帰ってきたんだな………」
異世界転移して2ヶ月。遂に珠希達は故郷の地へ足を落ち着けたのだった。
「……でも、まだやることはあるよね」
「あぁ、
珠希の手元に、銀色の鍵が現れ、迷わずそれを空中に刺した。
すると、ドアが現れ鍵がドアの鍵穴に収まり、そのままぐりんと、回すとカチャリ、と解錠の音が聞こえた。
「………皆ーーーー」
~fin~
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