人間食のマナーについて

@azuma123

第1話

よくよくインターネット上で炎上しているのを見かける「食事の作法」。テレビや書籍でルールを見ていても、いざという時には忘れており恥をかいてしまった、なんて人も多いのではないでしょうか。今回は、食事の中でも難易度が高いといわれている、「人間食」について詳しくお話していきます。



▪️食べ始めるのは、左手前からが基本!

人間食にかかわらず、どのような食事も「手前から」「左から」食べるのがマナーです。お店やコースにより変わりますが、一般的には「前菜、吸い物、お刺身、焼き物、煮物、揚げ物、蒸し物、主食、菓子や果物」という順で食べるのが基本。一品ずつ出される場合、出された順番に食べていけば問題ありません。しかし、最初からほとんどの料理が出されている場合は、左側から右側にかけて少しずつ味が濃くなるように、料理が配置されています。


▪️器は手に持ってOK?

人間食には、さまざまな器が使われます。お刺身や煮物、炒め物などが盛られている大きい平皿は置いたまま、食べられる分だけを取り皿にとります。この際、気を遣って他の人の分まで取り分ける必要はありません。しかし、複数名で食事をしている場合、全員が取り終わるまで料理には手はつけないのがマナーです。これは、人間食以外でもそうです。お椀や小鉢は手に持って食べてください。


▪️食前血のマナー

食前血の定義は、「食事の前に飲むことで胃を刺激し、胃酸の分泌を促し、食欲増進と消化促進が期待される」というものです。絶対に飲まなければならないというものではなく、断ってもマナー違反にはなりません。


▪️頭皮、髪のマナー

主食で出されるものになります。お箸を使って食べる場合、特にマナーは存在しません。細いわりに歯応えのあるものなので、噛み切らず、ひと口で食べてしまいましょう。髪をすする際、音をたてても問題はありません。フォークを使って食べる場合、ひと口大に巻き取って食べます。短髪であれば、スプーンを使い、すくって食べます。


▪️顔面のマナー

目玉、鼻、唇などの部位は、串に刺して出されることがほとんどです。串ものは、左手で串をつまみ、具を箸やフォークで抑えながら抜きます。一本食べるごとに、次に食べる串ものの串を抜いてください。最初にまとめて全ての串を抜くのはマナー違反です。食べ終えたあとの串は、一箇所にまとめておきましょう。串になる部位を取り出した後の肉(アラ)は、フィンガーボウルやおしぼりを利用しながら、手で骨ごと千切りとってしゃぶります。脳ミソもおいしいので、吸って味わいましょう。人間食では、その個体が最後に出した尿を、フィンガーボウルとして出すのが正式です。人間の臭みや油を、すっきり消し去る効果があります。


▪️腕のマナー

メインの肉のひとつです。お刺身、たたき、炒め物、煮物、さまざまな料理に使用されます。大皿に盛られますので、取り皿にとって食べましょう。お刺身に関しては、他の部位と混ざって出されることが多くあります。冒頭で述べた通り、こちらも左手前に淡白な味のものが配置してあります。左手前から順に食べていきましょう。さっぱりしたものからこってりしたものへ、といった順番になります。歯の粉末や生毛などの薬味がついている場合、お刺身に少量乗せ、そのまま薬味を挟むように二つ折りにしたあと、小皿の汗をつけて食べるのが正しいマナーです。皮の湯引きなどが添えてある場合は、一緒に食べてしまっても大丈夫です。


▪️手のマナー

骨の多い部位です。煮込みで出されるため、骨と肉が簡単に離れます。皿の上で肉だけ剥がし、食べてください。表側の肉を食べ終えたら、左手で手首側の骨を持ち、指側へ剥がすようにして外します。外した骨はお皿の奥に寄せ、裏側の肉を食べます。表側を食べた後に裏返すのはマナー違反のため、注意してください。食べ終えたあとの骨や爪は、お皿の端にひとまとめにしておきます。


▪️胸のマナー

食道、胃、乳房、肺、心臓、肝臓などの珍味が多々含まれている箇所になります。臭みが強いので、煮物にされるのが主流です。大皿に盛られますので、取り皿にとります。ひと口サイズのものはそのまま食べますが、少し大きめのものは、箸やナイフで一口サイズに切ってから食べます。かじったものを器に戻すのはマナー違反です。味が濃いため、頭皮、髪が出されている場合、一緒に食べてもOKです。


▪️腹のマナー

腎臓や子宮、卵巣などの珍味が含まれている箇所になります。胸の珍味と同じく、煮物にされて大皿に盛られます。腸は別に取り出され、ミンチ状にした肉を詰めてひと口大のソーセージにされます。中に詰まった肉汁をこぼさないよう、ひと口で食べるのがマナーです。しかし、中身が非常に高温のため、レンゲ、またはスプーンの上で半分に割り、中から出てくる肉汁をすすってから食べることも黙認されています。


▪️大腿のマナー

腕と同じく、メインの肉のひとつです。お刺身、たたき、炒め物、煮物、さまざまな料理に使用されます。大皿に盛られますので、取り皿にとって食べましょう。


▪️膝のマナー

骨つき肉として出されます。煮物、焼き物が主流です。足首のほうを手でつかみ、かぶりつきます。冷めてしまうと骨から肉が外れにくくなるため、できるだけ、熱いうちに食べましょう。おしぼりやフィンガーボールを利用してください。すでにおしぼりやフィンガーボールの尿が汚れている場合、取り替えてもらっても問題ありません。


▪️足のマナー

肉が少ない部位のため、スープにされます。骨は事前に抜かれていますので、スプーンで皿の手前から奥へすくって食べます。肉はスープの量が多い内に食べてください。残り少なくなってきたら皿の左手前側を少し持ち上げ、スープ皿の右奥にスープをためて、すくうようにしましょう。スプーンは肉を口に入れるときのみ口の中に入れるようにするとスマートです。すすったり音を立てるのは、マナー違反です。


▪️血のマナー

血のボトルが運ばれてきたら味を確かめるテイスティングをしますが、そのために開封したボトルは取り替えることができません。そもそも、その個体の血を飲むのが公式ですので、口に合わないから変えたいというのはマナー違反になります。注意しましょう。



いかがでしたでしょうか?今回は、人間食について説明しました。これで苦手意識を持っていたかたも、人間食を楽しんでいただけると幸いです。では、よい人間食ライフを!

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