2回戦の相手投手はダーツの達人?
亜美は進路について俺に尋ねられると少し考えてから言った。
「とりあえず大学行くよ。体育の先生になるのもいいかなぁって。だからもしプロリーグができても大学卒業してからかなぁ。」
亜美なら女子プロリーグができれば確実にリーグを背負って立つ選手になるだろうし、女子の硬式野球部でも確実に指導者になれるだろう。
ちなみに青学の今年の3年生の中でドラフトにかかりそうな人はいない。ただレギュラー陣は大学の推薦がとれそうな人が多い。やはり山鹿世代の人気実力が圧倒的で毎日のように彼ら目当てのスカウトが学校を訪れているくらいだ。
とりあえず俺は明日の試合に集中しよう。
第2戦の相手はRJ東日本東北。仙台に本拠地を置く東北の雄。エース
「なんでもダーツですげえ真ん中に当てるらしいぞ。ダーツで
エースの増田さんの解説に俺は首をかしげる。
「ダーツで
そう言ってから俺も自分でピアノで指の力を鍛えていたことに気づく。指の繊細な動きというのを取得するのは人それぞれのやり方なんだろう。俺なんか魔法だもんね。
俺はこの試合も3番指名打者。初回裏、最初の打席。二死打者無し。「選球眼ヘイスト」だけかけて様子見。すいません。魔法の名前の表記が毎回ブレブレなんですけどかけてる魔法は一緒です。すごいや、本当に寸分たがわぬ
ところが2回表、増田さんが2失点。しかしその裏、5番阪村さんがソロ本塁打で1点を返す。
ただ両エースともそこから立ち直ってスコアは双方0行進。2対1とリードされたまま6回の第3打席に。初回と同じく2死無走者。2打席で分析は完了。下手すると最終打席かもしれず魔法を重ね掛け。
逆球がない分、予想はしやすい。阪村さんだって打ったんだから魔法使えば俺にもいける。
1B2Sからの4球目。予想通りのぶれない球筋。ストライクゾーンのインローのコーナーにまるでダーツの
コントロールが良すぎたのかバットの真っ芯に捉えられた
投手が反応したがそのすぐ横を通り抜け、
同点の
すでに9回にリリーフを言い渡されていた俺は、最後の打席は立っているだけ。
8回に中継ぎしてくれた
左右で4球ずつ練習投球すると大歓声が起こる。
2番の代打で出た右打者を遊ゴロ、3番の右打者を145km/hの4SGで空振り三振に取ると4番は左打者。俺がグラブを左手につける。
初球インサイドに150km/hの表示が出ると味方応援席から拍手が。初めて試合で使ったカーブで追い込むとアウトローいっぱいに4SB。で空振り三振。球速が151km/h。おお、自己ベスト更新。160km/hまであと9km/h。
やっぱり投手は気持ちいいな。魔法の使用量の関係で長くはコントロールはもたないから先発完投は無理だけどね。
今日のヒーローインタビューは本塁打の阪村さんと決勝の
「あれ小原さん?」
「沢村君、つかまえられてよかった。会社と監督さんからあなたへの取材許可が下りたの。ここの主催の新聞社さんと系列のテレビ局さんと合同でね。」
ずらずらと後ろから出てくる大人たち。まあカメラマンやら音声さんやら照明さんとかスタッフをいれるとわりと威圧感がある。
「明日、練習が終わったら話を聞かせてね。」
「はあ。」
とりあえずここでは都市対抗に出た感想などを聞かれ無難に答えた。こんなところで変に「イキったり」すると大けがしそうだからな。
……で、翌日。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます