アメリカに短期留学してしまった。
借金王に俺はなる!……留学で。
「留学だと?その顔で?」
「お前、英語できんのか?その顔で。」
「まさか
先輩たちが矢継ぎ早にするすべての質問……。すべて俺の「顔」は関係ないだろ。だいたい転生特典で前世よりきっちりと上方修正されとるわ!勇者だって民衆の支持を得るには顔が命なんだからね。
アメリカにもケントが経営を手掛ける総合スポーツアカデミーがある。また、そこはハイスクールでもあり留学も可能だ。そこで取った単位は姉妹校にあたる青学でも認定される。夢のような話だが裏もある。費用がとにかく高いのだ。1年で生活費と授業料など合わせるとなんと680万円!渡航費いれたら700万円オーバー!ウチの父ちゃんの
それで俺はケントから借金することにしたのだ。まさに「出世払い」である。
「
ケントが日米の弁護士資格を持っているのは本来そのためなのだ。
まあここはどうあれ清水の舞台から飛び降りる気でいかないとだめなんだろう。
そして9月。
身長の伸びのボーナスステージがほぼ終わった俺は本格的にウエイトトレーニングをしてパワーをつける時期にさしかかっていたので、この時期にアメリカで科学的なトレーニングを受けたことはかなりのプラスだった。
ピッチングや守備もそして打撃の理論も日本と全然違った。肘の使い方から腕の振りからグラブの使い方まで。
「健、そのフォームでは
コーチにダメだしされる。どうやら中の人の昭和スタイルはすでに
俺は翌日のトレーニングで魔法を使ってみることにした。
「イエス!やればできるじゃないか!」
「命中率アップ魔法」や「
つまり身体全体を正しく使えるから正確性やパワーやスピードが出るわけか。ただ俺の魔法が切れると元の体勢に戻るので「持続力」がないと思われたようだ。魔法を使わなくてもそのフォームに近づくトレーニングをつんだ。
それと同時に魔法を体系的に、そしてコンパクトにまとめることにした。「支援魔法」を「野球魔法」へ組み直すのだ。魔法の組み合わせと深度の調整は幼児期の暇な時間にたっぷりと実験してきた。
支援魔法はグループ対象に使役するよりも単身に使用した方が魔法量の消費は少なくて済む。だからといってのべつまくなく使ってしまったら底をついてしまう。
まず「自動回復魔法」。肩肘膝と言った関節や付随する靭帯については重ねがけ。
打撃については「命中率アップ」。これは相手の投球でフォームを崩されないために使用。
安打狙いの時は「幸運度上昇魔法」を重ねがけ。
長打狙いの時は「
「
一方、走塁には「加速魔法」。盗塁時に「
幼少期から鍛錬を積んだ「視覚器官加速」にさらに磨きをかけると守備や打撃の時に
投球時には「命中率アップ」を重ねがけ。それによって安定したコントロールと正しいフォームを得られる。
また、「
結果はすぐに現れ始める。もちろん、「すぐに」と言っても幼児からの積み重ねが結実したものなのではあるが。
10月の初め、俺はコーチに呼び出される。
「健、ショウケースに出てみないか?ちょうど、うちのチームに欠員が出たんだ。」
「ショウケース?」
俺、陳列されるんでしょうか?
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