あさきゆめみしゑひもせす(決勝)
決勝の相手は横浜
「へえ、
別に聞こえよがしに言っているわけでない純粋な感想なんだろうが胆沢が早速頭にきている。どうどう。
絶対的エースの左腕
下馬評通り投手力の良いチームが春は強いのだ。前の3位決定戦が乱打戦となり40分ほど開始時刻は遅れたが天候にも恵まれた。
先発は
取られたら取り返すまで。と思いきや堅守。俺のセンターに抜けるかというあたりを二塁手の鮮やかなダイビングキャッチで抑えられてしまう。敵ながらあっぱれ。今日は相手投手が左腕のため右打ちなのでどうしても左打席に比べるとワンテンポ走塁が遅れてしまう。
おそらく1点とって俺という打者を抑えれば勝てるという算段なのだろう。
胆沢のすげぇドヤ顔。ただし相手も守備のチーム。こちらの攻撃も続かず追加点はなし。
5回6回両チームともに得点なく最終回の7回へ。最終回、右翼の
俺はブルペンに入ってタイブレークに備えて正捕手の祐天寺を座らせて
なんとサヨナラ2ラン。しかも初打席で。こいつら持ってんなぁとしか言いようがない。
「
「夏は負けませんよ。」
「こちらこそ。」
すぐに表彰式が始まる。優勝旗が再び俺たちのもとに帰ってきたのだ。
俺は個人としては最優秀選手賞とベストナインを受賞した。
胆沢は優秀選手賞。小囃子と祐天寺がベストナインだった。
ちなみに帰りが一緒なのは新幹線で東京駅まで。そこで解散になる。なにしろそこから春休みが始まるからだ。今日は3/31。明日から3年生になる。父親も翌日から仕事なので家族も帰宅。こうして家族旅行もかねた「センバツ」が終わりを告げたのだ。
「おめでとう。」
新幹線で監督から返された携帯をいじると亜美からメッセージが入っていた。
「ありがとう。」
「先輩、メールですか?」
俺がニヤ付きながらメールをしていると押川につっこまれる。
「
「ええっ?先輩彼女いるんですか?だめですよ。マネージャー以外とは恋愛禁止ですよ。」
「むしろマネージャーと恋愛禁止だろうが。」
「もう、あたしのハーレムを踏み荒らすのはやめてください。」
「誰がお前のハーレム要員だ。」
「言うこときけないなら携帯没収しますよ。スーパ一ひとし君なみにボッシュートです!プロ野球選手の嫁の座は誰にも渡しません!」
いやいや、まだまだその域まで達してはいないのよ。俺は甲子園に向けた最終序章、夏の全国選手権までどう自分を強化すべきか、考えているうちに眠りこんでしまっていた。
覚えてはいないが良い夢を見たような気がした。
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