準々決勝はリベンジ?
「リベンジ」という言葉が流行語大賞を取ったのが5年前の平成11年だ。そう考えると言葉として割と定着しているような気もする。
青学は選手が方々から来ているため、東京での試合で割と家族が集まることが多い。山鹿さんは出身は神奈川だし、能登間さんや中里さん、
なんか普段は大人びている上級生たちが家族にもみくちゃにされて年相応の少年の顔をしているのがなんだか微笑ましい。きっと大会が終わればそのまま実家に連れて帰るんだろうな。でも、あと3試合残っているのですよ。
亜美にも連絡した。亜美はさすがにカナダには行けなかったが、いろいろとコネができていつでも練習に参加させてもらえるようなチームが増えたそうだ。決勝まで残ったら見に来てくれるんだそうな。楽しみだな。
「よぉ、のこのこと現れたな。」
大門さんが笑いながらやってきた。そのセリフ……。
「大門さん、それじゃまるで悪役じゃないですか。へんなフラグ立っても知りませんからね。」
「まあ俺たちにとって神宮はホームグラウンド同然だからな。」
「そうですね。ホームグラウンドは
「アウェイだからって遠慮はいらんよ。」
漫才かよ。そして……。
「なんじゃあこりゃあ!?」
瀕死の
今日は前日の二回戦と打って変わって伊波さんが絶好調。まさに
俺も今日はつなぎ役に徹していればよかった。
「今日は快勝でしたね?」
俺が朗らかに山鹿さんに尋ねると
「ああ。」
となんともつれない返事。俺が当惑してるのを見かねて能登間さんが教えてくれた。
「次の対戦相手。
「まあ、くよくよしても仕方ない話だな。」
「それがあいつらにとって『裏切り』と捉えられてしまっているんだ。」
攻守の要である
「ある意味大門よりも正確な意味で『リベンジ』だと言えるだろうな。」
まあ確かにがっかりするよな。チームの大黒柱だったんだもんな。
青学にとってもそうだ。先輩たちは天才揃いで
下手すると決勝以上の決意で挑んできそうだもんな。
翌日の準決勝。朝8時からの第一試合だ。あ、あれが噂の対戦相手かぁ。あらいやだ。こっちを怖い目で見てるよ。
「
なんすか伊波さん?俺の心の声が漏れてましたか?
「『あらいやだ。』はもっと
「あら、いやだ。」
「いや、『あら』はもう少し声を裏返してカスレさせてみろ。」
なんの指導ですか!?ほらこっちに近づいてくるじゃないですか。
「よぉ、久しぶりだな
「ああ。会えて嬉しいよ。
「俺たちがさんざ苦労してる間に選抜王者ですか?良いご身分だな。今日はお前が裏切った俺たちの努力のほどを見せてやるよ。」
「ああ。」
山鹿さんは否定しなかった。否定しても無駄だし結局、プレイ以外の会話は意味をなさないことを理解しているのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます