中身がオッサンな幼児の有意義な過ごし方。
俺は平日はママに連れられて電車を見に行くのが好きだった。男児は「重機派」と「電車派」にわかれるのだが、俺は走行する電車を見て動体視力を養うのが目的だったのだ。
週末はパパに連れられて野球場へ行く生活だった。父は引退した後も元居たチームでコーチの補助とマネージャーのようなことをボランティアで続けていたのだ。母にとっても週末のうち1日だけでも俺から手を離せるのはよかったのだろう。
公園では虫に麻痺や毒をかけたり、スズメに加速をかけたり、近所の怖い犬に
4歳からは保育園に通い出す。最初から愚図らずわがままを言わずに通う俺は割と評判の良い子であった。ただし中身が大人なので、さすがに周囲の園児のノリについて行けず一人で園庭で運動したり教室でストレッチをしていた。
めんどくさいのが「お昼寝」の時間だった。眠れずに俺にちょっかいをかけてくるヤツ。イラっとするので
年長になったあたりから親にねだってスイミングスクールに通わせてもらった。関節に負荷をかけずに体幹の筋力と心肺能力を鍛えたかったのだ。まあさすがにそんな理由を言うはずもなく、俺は自分の身体能力育成計画を着々と進めていく。
そして「
また前世は右利きだったので左も使える訓練も始めていた。スポーツで左が使えるのはアドバンテージになるし、左右を均等に鍛えた方が故障のリスクは少ないはずだ。
昔の天才打者は
保育士の先生たちから見れば他の園児と遊ぼうとしない俺を一風変わった子だと思ったはずだ。遊ばないのではない。園児たちの動きの高速
そして同じ保育園に例の胆沢がいたことに気づいたのだ。あの身体の中に「魔王の
胆沢は身体がすでに大柄だったので気に入った女の子をいじめてしまうタイプの男児だった。彼が
どうも彼の持つ魔王のスキルは彼の「気に入らない」という感情に反応すしてなんらかの魔法が発動するようだった。これはなんとか早いうちに対策を打つ必要があった。俺は自分に「魔法防御」をかけるのを怠らないようにする。
そして平成9年4月、俺は小学生になる。地元の公立小学校、桜田小学校である。同時にリトルリーグにも参加する。これは前世と同じ流れであった。ただ違うのは俺の中の人。
なにしろ小学校の授業がひたすらつまらない。なにしろ通算すると27歳ですから。仕方ないので図書館(学校の図書室ではない)で借りたりパパの書棚から持って来たトレーニングや野球理論関連の書籍を読みふけり、魔法でそれを再現する実験を続けていた。
この当時はまだ甲子園出場からのプロ野球入りを目指していたのだ。
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