第2話 魔女の悲恋は続くよ、どこまでも?

私は、二宮 真紀。22歳。


魔女の生まれ変わり。


「何言ってるんだ」って言われるだろうから、誰にもカミングアウトはしていない。


運命の人に出会うため、もう四度も転生している。

四度目で生まれ変わった日本は、平和だしおいしいお菓子もあるし、アニメも漫画もゲームもあって最高に幸せ!


それに、私を愛してくれる彼氏もいる。

今度こそ、これで転生はおしまいだと思うの。


だって、彼氏のコウセイはとても優しくて私を愛してくれている。


『真紀のことが好きだから、仕事しないで毎日連絡が取れるようにするね』


そんなことを言ってくれるのよ?どれだけ私のことが好きなの?お金はないけれど、それも私が稼いでお小遣いを渡してあげれば解決。


今世こそ、愛し愛されて幸せになれるかもしれない。


仕事帰り、私はうきうき気分でコウセイのマンションへと向かった。


けれど


そこで見たものは


高級外車に乗った女に送られてくるコウセイの姿。


『またね、愛しているよ』


派手な女にそんな言葉をささやき、そしてマンションの前で堂々とキスをするコウセイ。


見間違え?


ううん、絶対にあれは私の彼氏。

持っていた高級焼肉弁当の袋をドサッと落とした私は、そのまま何も言わずに走り去った。


夜の街は、カップルや学生で賑わっている。

猛ダッシュで歩道を駆け抜ける私は、完全に浮いていた。でもそれどころじゃあない。


「なんで?愛しているって言ってくれたのに!私にだけじゃなかったの!?」


涙がボロボロと零れてくる。


許せない。


でも一番許せないのは、

四度も転生しているのに、自分に都合のいい言葉だけをくれる人をまた選んでしまった自分。


違う。


またまたまた選んでしまったのだ。


王子に始まり、大公殿下に石油王、そしてアイドル、劇団員の卵だったコウセイ。

いつだって私の恋する相手は顔面ハイスペックで、いつだって私のことを本気で愛してくれなかった。


わかっていた。


多分今回もまたそうだって。


甘い言葉を囁かれるたびに、心のどこかでは嘘だろうって疑っていた。


だとしても


それでも今度こそはって思いたかった。


「コウセイのばかやろー!!!!」


涙ながらにそう叫び、私は猛ダッシュで街を駆け抜ける。





そして





見事なまでにすっころんで

頭を打って絶命した。




あぁ、神様。魔女が神頼みするのも変ですが、今度こそ私を愛してくれる人に出会わせてください……

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