謁見
とりあえず俺とレイは横のアンを見習って膝をつき頭を垂れる。
「面をあげよ。そうかしこまらずとも良い」
そう言われるがアンが姿勢を崩さないので顔だけをあげる。これは所謂社交辞令というやつだろう。
「娘よ、壮健だったか?」
「勿論でございます」
「留学先ではよく学んでおるか?」
「はい、こちらに居ります騎士のおかげで私は毎日有意義な日々を過ごせております」
『ほう、あれが!』という声や嫉妬の眼差しがこちらに向けられてくる。アンによって俺のハードルが上げられたわけだ。勘弁して欲しい...。
「其方が娘の騎士に就いたという青年か」
「はい。そうで御座います」
若干ぎこちない敬語を使いながら返答をする。
「名乗りを許そう。名をなんという?」
「朝霧悠馬と申します。以後お見知り置きを」
「朝霧悠馬か。娘から色々と噂は聞いたおる。後で褒美を取らせよう」
そう王様が告げると側近らしき人から不満の声が上がる。
「王よ、失礼を承知で1つ意見を述べさせて頂きたく...」
「軍務卿のサダルか。いいだろう」
「恐悦至極に御座います。我が国は昨今の治安の悪化により、膨大な警備費を支出しております。国外の者に褒美を取らせる余裕はないかと」
「ふむ、面白いことを言うな。財務大臣、今我が国は娘の恩人にすら褒美をとらせられないほど困窮してあったか?」
財務大臣が手元に持っていた紙をチラッと見る。
「いえ、そんなことはないですな。ましてや我が国は我が国の皇位継承権1位の方を援助いただき、それに言葉だけのお礼で返すほど恩知らずでもありませぬ」
「だ、そうだが。軍務卿、まだ何かあるか?これ以上お客人を待たせたくはないのだが」
「いえ、余計な進言をいたしました。申し訳ありません」
軍務卿のサダルさんはそう悔しそうに下がっていった。どうやらめんどくさいことにこの国も一枚岩ではないようだ。
謁見の間を出た俺は別室で少し待つように言われた。恐らくさっき揉めてた褒美とやらの件だと思う。俺としては別にいらないのだが断れるような雰囲気でもなかった。ちなみにアンとリタはアンの自室へ先に向かった。
「やあお待たせしたね。朝霧悠馬君」
「財務大臣さんのえーと」
「ロドリゲスだ。よろしくね」
と財務大臣のロドリゲスさんから手を差し出される。俺はその手を取りながらきちんと挨拶をする。
「ロドリゲスさんですね。よろしくお願いします」
「あら貴方が噂の騎士さんですのね」
そんな声と共に少し身長の低い女の子が部屋に入ってきた。
———
すいませんめっちゃ公開した気でいてました...。
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