城下と城
城下町に着いた俺は国民達のアンへの信頼に驚いた。正直いつもの姿からは想像もできないぐらい慕われている。
花屋さんの前を通るとお姉さんから「アン様おかえりになられたんですね。これも何かの縁ですしこれを!」と花を渡されるし、果物屋さんの前を通ると老婆から「アンちゃんお帰り。長旅で疲れただろうこれでも食べなさい」と果物を貰うしまるで本の中のお転婆なお姫様みたいな扱いだ。国全体でこの子を育ててきたみたいなそんな雰囲気感じた。
「アンはこの国の人達に愛されてるんだな」
「自分で言うのも恥ずかしいですがとても愛されていると思います。皆様優しいです。幼少の頃、私が何かやってしまった時はお母様とお父様に一緒に謝りに来てくれたり色々とお世話になりました」
「それはまた...」
「アンお姉さんはかなり溺愛されてますね...」
レイですら若干引いてる。かくいう俺もかなり溺愛されてるなと思った。なにを間違ったら王様と王妃様に直接一緒に謝り行くなんてことになるんだ?
ただこの国の人達がここまでアンを甘やかしたからこの性格の彼女が育ったと思うとそれはそれで悪いことでないのかもしれない。
「さて挨拶回りも大体終わりましたしお城へ向かいましょうか」
どうやらさっき挨拶した八百屋のおじさんで最後だったらしい。俺達はその言葉に従って城へ向かった。
『お待ちしておりました、アン様!』
門番さんも大層に喜んでいた。すごい人望だと思う。俺は当たり前だと思うが睨まれていたが。
ここまで人望のある人物の騎士が自国から選ばれなかったのは悔しいし悲しいのだろう。俺も多分この国の人だったら睨んでると思う。虫が自分達の大切な娘と変わらない存在についてるわけだからな。
そう考えると今から王様と王妃様に会うのが億劫になってきたな...。
『アン様ご一行が到着いたしました。お目通し願いします!』
遂にきてしまった。今年一番胃が痛くなるイベントだ。
「随分と遅い到着だったのだな。いいだろう、通せ」
そう重圧感のある言葉が扉の内から投げかけられる。嫌だなぁ...。
王座までの扉が開かれる。扉が開かれたその先に居たのは王様を見た初見の感想としては失礼だが普通のおっちゃんとおばちゃんだった。さっきの言葉から感じた重圧感は一切感じない。
少しほっと胸を撫で下ろす。これでガチガチの王様です!見たい人が出てきたらどうしようかと思っていた。
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遅くなってごめんなさい!新作のプロット練ってたらこんな時間でした。一ヶ月以内にこの作品と並行して新作出すかもしれません!そちらも出ましたらよろしくお願いします!
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