先生の魔力の理由

「悠馬さんあの先生を見張って三日でしたっけ?中々尻尾を出しませんね」

「まだ悪い人って決まったわけじゃないけどね...」

 黒とかグレーゾーンの行動すら取られないと流石に少し気が抜けそうになる。

「まあまあ数日だけ見張ってみて何もなかったらそう生徒会長に報告するよ」

「そうですね。ずっと先生に張り付いているわけにもいきませんしそれでいいと思います」



 そんなことを話し次の日、気を抜いたのか怪しい動きを見せた。

 あの教師が怪しい廃ビルの中に入っていった。俺は慌てて後を追う。

俺は教師が入っていった扉に耳を当て音を聞く。

「...はどうなのよ?きちんとできてる?」

「勿論だよぉ!貴女のお願いとあれば私は動いちゃうわ〜」

あの教師誰とでもあの喋り方なのか...。とそんなことは置いといて肝心な部分が聞き取れなかった。



次の日学院に来てみても異常はない。昨日の会話の内容から何かの準備をしていたように思うが、見たところ何か準備をしているようには見えない。

「本当はいい先生なのか...?」

そんな独り言を言いながら俺は生徒会室に向かった。



《コンコン》

「誰かな?」

「朝霧悠馬です。あの件の報告をしようかと」

「ああ君か。どうぞ」

俺は生徒会室に再び足を踏み入れる。

「なるほど、君の見解では問題はなさそうだと?」

「はい、今のところ3日監視していますが怪しかったのは密会のみでしたし学院で何かをしようとしているようには今のところは見えません」

「じゃあ神の友達が言っていたという魔力の流れがおかしいというのはどう説明するかね?」



「それは私から説明しようかしらね〜。生徒会長ちゃん?」

俺が見張っていた教師がいつの間にか俺の後ろに立っていた。どうやって入ってきたんだ?物音すらしなかったぞ。

「悠馬君だったかなぁ?そう警戒しないでくれると嬉しいかな」

「先生それは無理がありませんか?俺達が貴方の話をしていた時に物音もせず入ってきて俺の背後をとって、なおかつその様子だと俺が先生を調査してたのも知っているみたいですし」

「勿論、君が嗅ぎ回っていたのは知っているよぉ。誰が依頼したかを知る為に泳がせていたけどね」

「先生、魔力の流れに関してはどう説明するんですか?」

生徒会長があくまで冷静に問う。

「まあ簡単に言えば体質なんだけどそれじゃ納得しなさそうだから少しだけ話してあげる。私はとある企業に実験動物として捕まっていたのよ。その時に少し魔力を弄られてこうなっちゃったの」

先生は少し悲しそうにいう。筋は通っているが本当かはまだわからない。

「まあとりあえずはそれでよしとしましょう。悠馬くんは部屋から出ていいですよ」

ということで俺の初仕事はここで終わりを告げた。

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