下級悪魔との決着

「狩る?この私を?妙なことを言いますねぇ」

「そんな妙だったか?お前その辺のゴブリンと大して変わらないように見えるぞ」

 そんな安い挑発をしながら相手がどういう動きをしてくるかを見る。

「面白いことを言いますねぇ。この私がゴブリンと同格!?」

 怒ったか。かなり性格は短気らしい。ということは冷静さを欠くのも早い。

「このアルビン配下のデュア、命に変えてもお前だけは殺す」

 そう悪魔に宣言される。命に変えて持っていたのは少し勘弁して欲しいところではあるんだけどな。



「桜はあんまり前に出過ぎないでくれ。俺が前に出る」

「それは嬉しいが私にも剣士としての誇りがある。私も前に出るよ」

 まあそうだよな。後ろに下がったら桜がやれることはかなり少なくなるし、仕方ない。

「わかった。その代わり危なくなったらすぐ引いてね」

 そんなことを約束してもらう。

「アンとリタは悪魔に狙われないように悪魔を魔法で攻撃するんじゃなくて、悪魔の飛ばしてくる魔法を相殺して欲しいんだ。難しいけどできる?」

「私はできます。悠馬さんから教わった魔法がありますから」

「私もできます...!アンさんと協力しながらどうにか全部捌けるように頑張ります」

 ここで俺はある魔法をリスタから教わったのを思い出す。あれなら前衛を出来るな。



「まずこのデュアを挑発したお前から死んで貰おう!」

 悪魔から中級闇属性魔法が俺に飛んだくる。勿論、アンとリタの手によって相殺される。あれ?これ思ったより簡単かも。俺は魔法を放った後に隙だらけの悪魔に、拳に魔力を込めた氷を纏い殴る。

「なっ...!?」

 俺が武器を持っていないのでまさか物理攻撃が飛んでくるとは思わなかったのだろう。そのまま部屋の端まで吹き飛ばされる。

 アンが追撃と言わんばかりに風属性の上級魔法を打ち込み、悪魔は消滅していく。

「アルビン様、申し訳ございません...」

 そんなことを言いながら。

 悪魔を倒したことでダンジョンから俺達含むクラスメイトは全員出ることができた。



「お前達随分と遅かったな。何かあったのか?」

 戻って開口一番そんなことを先生に聞かれたので俺は悪魔が出たことを説明する。勿論、誰がどんな魔法で倒したかは省いてだが。

「悪魔が...?なるほど、しかし早すぎるな。今日はお前達授業は終わりだ。解散」

 そんなこんなで俺達は初めての悪魔との対決を無傷に乗り切ったのだった。



「失礼します。学院長大変です」

「貴方が取り乱すなんて珍しいですね。何かあったのですか?」

「学院に下級悪魔が現れ始めました」

「それは本当?だとするとまた面倒なことになるわね...」

 俺と学院長は頭を抱えることしかできない。悪魔というのは人間でいう家計のようなものがある。なので下級を倒せばまた下級が送られてくるか中級がくる。その中級を倒すとまた中級がくるか上級がくる。と言ったようにその家計を滅ぼすまでやってくるのだ。

「とりあえず早急に打てる手は打ちましょう」

 俺達教師陣はダンジョンの封印に取り掛かることになった。俺は暫くAクラスを教えるのは難しいかもしれない。



————————————————————

昨日も沢山の評価ブクマありがとうございました!今日も楽しくみていってくださると幸いです!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る