【第2章 学院入学編】
学院への入学試験
アンはあの後苺やリスタにきちんと説明をしたが苺やリスタも薄々俺に送った指輪や普段着てくる服等で薄々わかっていたらしく大して驚いていなかった。ちょっと驚く苺がみたかっただけにそこは残念だ。
そこから数日俺達は学院の入学試験に来ていた。そう学院でも仲良くしてほしいとは言ったものの俺は入学できるかわからないのだ。
ちなみにアンは特待生枠を苺は1つ下なので来年に試験を受けことになる。つまるところ俺だけが学院に落ちてみたいなパターンもあり得る。それだけはなんとしても避けたい。そんな気持ちで学院の門を叩いた。
「おいおい、そんな腕で大丈夫なのかよ?」
そんな声が少し遠くから聞こえてくる。これは心配というより早く帰れという脅しのようなニュアンスを感じた俺は現場を見に行くことにした。
しかし俺はそこに居た人物を見て後悔することになる。そう、そこに居たのはまさしくこの人生における俺の最大のライバル雄だった。だがいくら相手がライバルだからと言って助けないのは違う。俺は偉ぶっている男に少し魔力を込めて声をかける。
「お前、何してんの?」
「ヒッ...てなんだまた細いのが増えただけかよ」
この男予想以上にアホなようだ。
「魔法の腕が細い細くないで決まるのか?そう考えてるならお前相当アホだぞ」
「な!?アホだと?我がアルビィス家を愚弄するのか...!」
アルヴィス、どこかで聞いたようなああそうかオーガスタ王国の貴族様か。確か伯爵家だったか。
「いや別に馬鹿にするつもりはないけど視野が狭いなと思っただけだよ」
「お前は絶対この入学試験で叩き潰す」
そんなかっこいい台詞を吐いて彼は去って行った。名前ぐらい教えて欲しかった。
「君すごいんだね。僕の名前は秋野雄、よろしく」
「俺は朝霧悠馬だ。雄とか言ったか。お前かなり魔力があるようだがなんであいつに魔法を打たなかった?」
「え、朝霧君は人の魔力が見えるの!?」
「ああ見えるぞ。そういう魔法があってな」
嘘だ。そんな便利な魔法はこの世界には存在してない。多少は人から魔力を感じることはできるが。雄がどのくらい魔法について知っているかのカマかけみたいなものだ。
「ああなんで魔法をうたなかったって話だったね。だってあの人魔法を打つ価値すらなかったからだよ」
俺はこの瞬間一瞬身構えた。何故なら雄から膨大な魔力が溢れ出てきたから。
俺はこんな化け物と対峙しようってのか。がしかし魔力操作が全くなっていない。これが俺と雄の今の差だ。
「そうか。そういう感性は大事にしたほうがいいぞ。じゃあな」
俺は雄の実力は測れたのでそのままその場所を後にして会場へと向かった。
「朝霧悠馬君か...。なんか変な人だったな」
そこに残った雄はポツリとそんなことを呟いた。
「よおまた会ったな。ここで決着をつけようぜ」
アルヴィス家の坊ちゃんがまた絡んでくる。学院の試験というのは筆記試験と実戦試験の二つから選べる。
俺は別にどちらでもよかったのだが前日にアンから「実戦試験で力を示したほうが楽な学院生活を遅れるかもしれませんね」という言葉を聞いてこっちに来たのだ。
「でなんだ?相手はお前なのか?」
「ああそうだ。教師に言って相手をお前に変えてもらったのさ」
なるほど。こいつはやっぱりアホだ。学院では身分差は関係なくなる。つまり対戦相手を入れ替えてまで学院に入ったら叩かれるのはこのアルヴィス家の坊ちゃん自身であるということを自分で理解していないらしい。
「まあいいや、じゃあ始めようか」
俺達は試験会場の闘技場に足を踏み入れた。
「お前今更謝っても遅いからな!」
お坊ちゃんが詠唱を始める。
『我が願うは太古の焔』
相性なんてそもそもあったんだという驚きもある。『アルカディアの明日』の時はなかった気がする。つまり別の世界なのか?そんなことを考えながら坊ちゃんの呪文を妨害していく。
まず炎の魔法陣の内部に氷の魔法陣を仕込み機能を停止させる。
炎と氷は反発し合う魔力性質があるのでこれであの魔法は機能を停止する。
「なっ!?古代魔法だぞ!そんな割り込み一つで崩れるわけが...」
この坊ちゃんの口から出てきた古代魔法、実は俺はリスタに教えてもらっていた。
「古代魔法を使えるのはお前だけじゃないんだよ」
「古代魔法を古代魔法で相殺したっていうのか...!?」
流石にわかるらしい。俺は勝負を早く終わらせるために氷魔法の中でも高位の範囲殲滅魔法を唱える。
【ブリザード】
お坊ちゃんの体に氷の嵐がまとわりつく。
「うわやめろ!やめてくれ!」
そんな懇願をされるがこれは試験教員が止まるまでは俺はやめられない。
「そこ!今すぐその魔法をやめなさい!」
試験教員に止められたので俺はすぐに魔法を解除する。氷の嵐から出てきた坊ちゃんは顔も体もボロボロだった。
「貴方名前は?」
「朝霧悠馬です」
「そう朝霧悠馬、試験で対軍魔法を1人の人に向けるなんてどういうつもり?」
と試験教員に怒られたが先に古代魔法を展開したのはあちらの方なのでその旨を伝える。
「俺はあくまで自衛の為にあれ使いました。相手はこちらを殺めることもできる古代魔法の詠唱をしていました。早急にそれをどうにかせねばやられると...」
「そう、それなら自己防衛が通るわね。わかりました、貴方の合否については後日連絡します」
俺は内心落ちたなと思いながらとぼとぼと帰路につくことにしたのだった。
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