人の振り見て我が振り直せ

輪切りの檸檬爆弾

ダメなところも愛おしい

「おはよう」

PC画面に向かって挨拶をする。今日はどんな格好をするのかな、今日も美しいな、また頭痛そうにしてる。あんなにお酒飲むからだよ〜酒は飲んでも飲まれるなって言うからね!程々にしないと!まったく、ダメだな〜。彼女、加藤由美さんは毎日のようにお酒を飲んでは飲まれ二日酔いを繰り返す20代OL。毎日お酒飲んでるのにまだ若いからかスタイル良くてセミロングの黒髪はツヤツヤさらさらに整えられている。ふぁぁ、とあくびする姿も可愛らしい理想的な姿に僕はうっとりする。僕、加藤悠真は冴えないフリーターで由美さんを見ている時間が1番幸せ。彼女は今日も時間ギリギリの目覚ましで起きてあわあわと支度をしている。朝ごはんも満足に食べず、脱いだ服を散らかしっぱなしで急いで彼女は仕事へ向かった。

「行ってらっしゃい」


今の僕の仕事はコンビニの一般店員。店長に怒られ、客に怒られ散々な目にあう。僕の心はズタボロ擦り切れ使い古された雑巾のよう。そんな心を癒して絆創膏はってヨシヨシしてくれるのは大好きな由美さん。僕の仕事は9時から15時まで。由美さんの仕事は17時まで。今日も飲んで帰ってくるのかな。他の男がいたら嫌だな。彼女は僕のものなのに、僕がどれだけ彼女を見ていても彼女はフラフラフラフラ遊びに行ってしまう。可愛くて綺麗な由美さんは完璧のように見えて実はだらしないところもある。服を脱ぎ散らかすし、自炊もそんなに得意じゃないみたい。お酒たくさん飲んでベロベロによって吐いて会社の人に迷惑かけたり、洗濯物干しっぱなし、洗い物ためがち。それでも彼女はそんな抜けているところが気にならないくらいに可愛い。


僕が仕事から帰ると珍しく由美さんの姿があった。

「あれ?今日は早いね?」

由美さんは体調が悪いみたい。日頃の不摂生が祟ったね。可哀想、しっかり休んでね。

「頭痛い」

彼女がうぅ、、と唸っている。薬はベッドの横の棚にあるから飲めばいいのに。あ、でも水道水は良くないかもしれないね。あー、シンクの中に洗ってない食器置きっぱなしだから片付けないと!でも今日は仕方ないか。

彼女はシャワーを浴びると髪を乾かすのも忘れてベッドへ倒れ込んだ。

「お休み、由美さん」




つづく

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