第40話 誤魔化すのも大変なんだぞ
「アルラギアの勇者とやらが、女王様の身体を要求していたのは分かりましたけど、残念ながら俺のお願いは別です。失礼かもしれませんがお子様には興味無いんでね」
「お、お子様!?」
女王様は俺にお子様扱いされたのがショックだったのか、死んだ顔から驚いた顔に変わる。
俺としては大分不服だけど、ロリコン扱いされるよりは女王に失礼な言動をする奴扱いの方がマシだ。
「だから言ったでしょ。勇者様はアルラギアの勇者とは違うって。勇者様が連れている二人を見れば女王ちゃんが好みじゃないって分かったし」
「言われてみれば確かに……」
「あのお二方に比べると女王様は……」
「……お子様」
「もう辞めて! もう辞めてぇ! 早とちりしたわたくしが悪かったからぁ!」
リベッネの言葉で、サンドラさんとメリサさんの二人と自分達の女王をよく見比べた護衛騎士達は納得して女王様をお子様扱いする。
……コイツらも大概失礼だな。
「……それじゃ、勘違いという事が分かって貰えたので俺のお願いを言いましょうか」
「はい! どうぞ! すぐにどうぞ!」
女王様は自分の早とちりをさっさと無かった事にしたいらしく、今すぐフィスフェレム討伐の要求を言ってくれと懇願する。
「では、早速。俺のお願いはオーゼキが持つ
「……っ、なるほど……」
「勇者様の持つ女神の剣だけじゃ足りない……って事ですか?」
……チッ。
やっぱりこの要求は無茶だったか?
大関の持つ女神の藍を寄越せって要求は。
大分マイルドに言ったつもりだが。
女王様とリベッネの反応はあんまり良くなかった。
逆に女神の藍が無いとフィスフェレム討伐は無理なのか的な事を聞かれちまった。
……それなら話すしか無いか。
俺が持つ女神の剣、
「足りないというか……俺の持つ女神の剣って単体だと戦闘じゃあんま役に立たないんですよね。相手の攻撃魔法を斬ったり、打ち返したり出来る事以外はただのめちゃくちゃ切れ味の良い剣なだけですし」
「……攻撃魔法すら斬れる剣ってだけで凄そうに聞こえるのはアタシだけかな?」
「十分凄そう……だけど単体だとって何ですか?」
「見せた方が早いかもしれませんね」
俺は
ケントの持っていた女神の紫を取り込んだ状態の女神の黒はサンドラさんとメリサさんにも見せていないからな。
丁度良いから二人にも見せた方が良い。
「黒い女神の剣!? リ、リベッネ!? 女神の剣って虹の七色じゃないの!?」
「言い伝えによれば、赤、オレンジ、黄色、緑、青、藍色、紫。確かに虹の七色の剣をそれぞれ一本ずつ持った女神に選ばれた勇者が七人現れて、魔王を倒すって話だったはず……ん? よく見ると少しだけ紫が混じっているような……?」
「た、確かに!」
「本当だ! よく見ると少しだけ紫色の部分があるぞ!」
「これは一体……?」
思い出すなあ。
アイドラさんに女神の黒を見せた時もこんな反応だった。
言い伝えでは、女神の剣は虹の七色しか無いはずなのに何故黒!? って言っていたし。
「ね、ねえメリサ? あの紫色の部分って……?」
「間違いないですね。勇者ケントが持っていた女神の紫ですよ。なるほど……奪うと言っていたのはそういう訳ですか」
「え? え? どういうこと?」
サンドラさんからの反応は、何故紫色の部分が? という反応とあの紫色の部分ってもしかして……? という反応だった。
メリサさんは、ケントとサラから俺が全てを奪った現場にいたから、女神の黒が少し紫色が混じっている訳を察したようだ。
というか、女神の黒の能力に気付いたか?
まあいい、女王様達との話を続けよう。
「ああ、女神の黒の存在を知りませんでしたか。それもそうでしょうね。実は俺、八番目の勇者だったんですよ」
「八番目?」
「言い伝えと違う! 女神に選ばれる勇者って七人じゃないの!?」
言い伝えと違うってそりゃそうだろ。
そして、勇者をリーダーにして四人一組の勇者パーティーを七組結成して、魔王軍七幹部を倒して、その後魔王を倒してこの世界を救い、元の世界へと帰っていく。
これが元々イーリスの計画で、この世界に伝わっている言い伝えだろ?
でも、俺という本来この世界に来るべきじゃない人間を召喚させた事で、色々狂ったんだ。
誤魔化すのだって、色々大変なんだぞ? マジでふざけんなよクソ女神が。
八番目の勇者ってのも、
あ、そうだ思い出した。
選んでおいて悪いけど、ケント辺りには期待していないから、
ってふざけた事をイーリスに言われて頭に来たんだよな。
それでイーリスの力を全部奪ってやろうと考えたんだった。
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