気になっていた子から嘘告されたので俺はその子を嫌いになりました。

白海 時雨

第1話 カースト上位の話

嘘告。それは名前の通り嘘で告白するという意味である。


人はなぜ嘘告という残酷な行為をするのだろうか?


暇つぶし?いや、違う。


おそらくだが嘘告した相手が本気で付き合っているさまを嘲笑い楽しむためにするのだろう。


嘘告とは人の心を弄ぶ行為だ。絶対にやってはならない。


なぜ俺がこんなにも嘘告を批判しているのかって?



それは当然、俺が昔やられたからだ。


あの憎きあいつに·····





「おはっ」


「ああ、おはよ」


「なんでそんなだるそうな顔してんだよ」


「いや、ゲームが俺を離してくれず·····いつの間にか日が昇ってたんだよ」


「お前のそのゲームに対する愛はなんなんだ?もっと高2らしく恋とか青春したくないのか?」


「あ?恋?そんなもの高校で付き合うカップルなんてすぐ別れるだろ?」


「おい、もうちょっと夢見よーぜ、お前意外と顔いいんだしさ」


「ま、気が向いたらな」


「おう!それでこそ男だ!」


なんで恋をしなきゃ男じゃないのか?マジでよくわからん。まさか、俺元から女だったとか?!


そう、言い去った後彼はどっか行ってしまった。


彼は、まあクラスで浮いている?ヤツだと思う。なぜこんなおとなしく過ごしている俺と話していたのか?それは去年同じクラスで文化祭のおつかいに俺と彼2人きりで行くことになり、そこで少し話していたらなぜかあっちからちょいちょい話しかけてくるようになった。


あ、彼の説明がまだだった。


彼は、井上 光。さっきも言ったが確実にクラスで浮いているヤツだ。まあ、高校の入学式の校長先生の話の最中「つまらない!」と大声で叫んだヤツだ。そんなヤツがクラスで浮かないわけが無い。


一応、俺の説明もしておこう。


俺の名前は、滝原 和人。平凡に高校生活を過ごしている。顔は、自慢する訳ではないが比較的整っている方だろう。


最近では、ゲームにすごいハマっている。理由はなにも考えずにできるからだ。


今の性格が光からひねくれてるとか言われたが自分でもひねくれてると思う。こんな性格になったのも全部過去のせいだ。


さっき光にも聞かれたが恋愛というものは別に嫌いという訳では無い。いや、むしろ前は好きだった。


嫌いになった原因それは·····なんか思い出すだけでも腹が立ってきた。


まあ、とりあえず今はそんなすごい好き!というわけでは無い。


しかし、俺も男だ。かわいいなと思う子ぐらいはいる。その子はクラスのカースト上位の1人、飯塚 夜空よぞらだ。彼女は茶髪でとにかくかわいい。そんなこともあってか告白もバンバンされているらしい。まあ、全部フッているらしいが。俺はあの子に真剣に告白などされたら普通に付き合うだろう。


そんなかわいいということもありクラスのカースト上位に位置している。


そして、俺は誰に説明しているのか自分でも分からないがとりあえず脳内で人物の説明をして1から6限目の授業を終えた。



放課後。


俺は、部活もなにもしていないのでいつも通り帰ることにし下駄箱まで行く。


しかし、俺は最近ハマっていたラノベを引き出しに忘れていることに気づき教室に引き返した。


そして、教室に着き自分の机の引き出しからラノベを取り出しそそくさと出ていくはずだったのだがなぜかクラスのカースト上位のヤツら男女4、5人が笑いながら入ってきたのだ。


俺は、なにも悪いことはしていないが机の下に隠れた。


あれ?俺なんで隠れたの?早く帰りたいのに!今出ていったら変な目で見られるよな?それはやだな。


俺は出ていくタイミングを見ているとなにやらヤツらが楽しそうに話し始めた。


「で!じゃんけんに負けた夜空!嘘告ねー!」


どうやら飯塚さんがいるらしい。しかし俺はそんなことよりもある言葉に耳が拒絶反応を起こした。


『嘘告』


しかし、そんなことしるよしもなく会話は進んでいく。


「じゃー夜空ちゃん、誰に嘘告する?」


いかにも金髪でチャラそうな男子が言う。


「え、いや、けど、嘘告なんて相手が可哀想だよ」


飯塚さんはしっかり良識を持っているらしい。


しかし、スクールカースト上位はそんなことで折れない。


「いやいや、罰ゲームだから。やるよ!」


「うーん?誰にする?」


「やっぱここは大人しいヤツらっしょ!反応も楽しめるし!」


俺は、この言葉にふつふつと怒りが込み上げてきていた。


何が反応も楽しめるし!だ。相手のことを考えたことがあるのか?相手は真剣に向き合って付き合っていこうとするんだぞ?


「じゃあ、滝原とかは?あいつずっとぼ〜っとしてるし、反応もあたふたしていいんじゃない?意外とイケメンだし」


おい、ちょっと待て。なんで俺がここで出るんだ?俺は、もう二度と·····もう二度とあんなことにはなりたくない!


俺は飯塚さんが断ってくれる。そう願った。


飯塚さんは少し考えた後、


「うん!そうしよう!」


は?なんで·····


俺の飯塚さんのイメージが一気に崩れ去った瞬間だった。


「じゃあ、それで決定な、明日嘘告しろよ?」


「うん!」

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