第22話 隠された罪(3)ミーティング
別室メンバーは、夕食兼ミーティングを行っていた。
「何か、変だなあ。窓から誰かが入って来た時、何で礼子さんは声を上げなかったんだろう」
涼真が言ってガーリックライスをかきこみ、焼肉を飲み込んだ悠花が答えた。
「すぐに失神させられたとか?」
本日の夕食は、焼肉丼とツナサラダとオニオンスープだ。
「失神した大人を担いで足場を下りたのか?窓も閉めて?物凄く大変だな」
湊が言って、スープを飲む。
「それに、侵入したのは、いつ、どこからでしょう?隠れて潜んでいたような場所もありませんでしたし」
サラダをすくいながら雅美が言う。
「まさか、内部に手引きしたやつがいる!?」
涼真がガタンと立ち上がる。
「落ち着けよ。
じゃあ、仮に内部に犯人か共犯者がいたとする。犯行は?」
涼真は想像してみた。
窓からそっと、見知った人物が顔を出す。
礼子はちょっと驚いただろうが、「壁に汚れが」とか何か適当な事を言って安心させ、近付いて来た所でスタンガンで失神させる。
そして、礼子を担いで下に降り、裏門から外へ出た。
「どうかな?」
「大変なのは変わらないしな。それに、夜になってから壁に汚れっておかしいだろ。それと、スタンガンは失神しない。威力を上げて倒れたとしても、それだと音がして、松本さんに聞こえる」
「じゃあ、これはどうですか」
悠花が想像してみた。
礼子は部屋に入り、椅子に座った。
するとベッドの下に潜んでいた犯人がそっと出て、礼子の背後に忍び寄り、クロロホルムを染み込ませたハンカチで口と鼻を押さえて失神させる。
そして、ベッドの下に隠して、後でほとぼりが冷めた頃に運び出す。
「これならどうです?」
「ドラマだな。クロロホルムであっという間に失神するなんて嘘だぞ」
「え!?」
「それに、ベッドの下もクローゼットの中も改めたんだろ?」
「ううっ」
悠花は悔しそうに頷いた。
「じゃあ、湊君はどう考えるの?」
面白そうに雅美が訊く。
「俺?合理的に考えれば――」
錦織がお茶を啜って、面白そうに笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます