第9話 登攀《とうはん》
朝、トワシスに起こされる。
海水で顔を洗っていて自分の容姿を思う。たぶん美人なのだろうが水面の反射はハッキリと映さない。それほど気にならないのはゲームで顔の作成に凝ってもやり始めしか気にしないのと同じか。
横を見れば、
釣られて眺める。
対岸が見えた。
そして、あっちが元居た陸地だと気づく。
月と浜辺の位置に違和感を感じたのだ。
まぁ別に戻れるし。探索に来たと思えばいい。
魚を焼いて食べた。
この世界に来て、自分の能力の確認と周辺の環境の確認をほんの少ししただけだが、目的を明確にしたほうがよいだろう。
安定して生存を続けたいだけならば、初めの洞窟に戻ればいい。いつか目が覚めて元の生活に戻るということがもうないのならば、それもいいかもしれないが、今は、元の世界から来た者を探すか、知性ある生物にこの世界についての情報を提供してもらいたい。
意思疎通のできる存在を探す。これを当面の目的にしよう。
浜辺から、森に入る。トワシスに乗って進む。川を見つける。川沿いに2日上流へ進む。途中、何度か魔獣と交戦し撃破。特に発見はなかった。
夜になり、川辺でハープを奏でる。月明かり差す中、馴染みのある外国の民謡を弾いていた。森の奥を見ていたアンドゥが何かに気付く。
すぐに戦闘態勢をとる。
明かりのもとに現れたのは…、ゴブリンだった。
人間の3分の2弱の身長で、でかい鷲鼻で、長く尖った耳をしている。眉毛が濃い。
ゴブリンが喋った。
「Are you from the earth? Bist du von der Erde?(あんた地球人なのか?)」
「Yes. Only a little in English.(そうだ。英語なら少しだけわかる。)」
「Me too. I'm Austrian.(似たようなもんだ。自分はオーストリア人だ。)」
「I'm Japanese.(日本人だ。)」
ゴブリンは笑顔?を浮かべると手を差出し、俺は握り返した。思いがけない出会いだ。
互いにこれまでの、情報交換をする。
彼は、『グヴィン・ゴヴィン』と名乗った。元の世界の名前ではないだろう。
自分もこの姿での名前を付けることにした。雰囲気が壊れるしな。
俺は『キュラ・キュプラスキー』と名乗ることにした。
グヴィンがスタートした場所は、さらに川上にある『バングへルム』というゴブリンの仕切る割と大きな町の近くで、はじめから「ゴブリン語」の技能があったので、うまく町に紛れ込んだらしい。ゴブリン以外にもトロルの職人や旅人が結構な数おり、トロルやオーガの町もかなり離れるがあるらしい。
バングヘルムは貨幣経済が成立しており、金を稼ぐために採集と狩りに出たが、森で迷って野宿しかけたとき、ハープの見知った曲が聴こえ、思わず出てきたということだった。
この世界へ来たのはやはり同じ手順で、戻る方法はわからない。町には他にも地球人がいるはずだが、不用意に正体を知られないほうがいいと考え、まだ積極的に同胞を探そうとはしていないと言った。
慎重な性格らしいのは好感が持てた。焼き魚をくれてやる。
グヴィン・ゴヴィン / ゴブリンヒーロー
筋力(Str) 7 (3) ポイントにより2UP
頑強(Tou) 8 (3) 「頑丈能力」によりUP
体力(Vit) 6 (3)
知力(Int) 4 (3) ポイントにより1UP
精神(Men) 4 (3)
魔力(Mag) 5 (3)
器用(Dex) 5 (4)
速さ(Agi) 5 (3)
魅力(Cha) 5 (5)
特殊能力/「病気耐性」「悪食」「暗視(光学)」「察知」「軽業」「
特殊技能/「必中三連撃」「勇気」「鼓舞」「罠解除」「鍵解除」「ゴブリン語」
天稟/「剣術の天稟」「集中の天稟」「自己治癒術の天稟」「頑丈能力」
装備/頑丈な皮鎧
※ ( )の数字はポイント割り振り前の初期能力値。
魔物を選んだときは、初期能力値にポイントによる影響を受けた後、さらに各魔
物としての能力補正を受けている。
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