第15話 現実

「おいっす」


「留置所内で身元不明の、変死体だって?」


「はい。女性棟で男性の変死体。監視カメラが壊れていて、証拠もほぼ無いです」


「廊下に鉄パイプを引きずったような後があると聞いているが?」


ので、関係ないかと」


「耳は? ちと赤くなっていないか?」


「火傷……ですね。血は出ていないです。これが死因とは考えられないですね」


「ならこの血液は何なんだ?」

 被害者の顔付近に血溜まりが見える。


「被害者が吐いた血ですね。今検死からの連絡待ちです……、あ。今電話が来ました。はい。…………、あんまり聞かない死因ですね。わかりました。病死……? はい。了解です」


「分かったのか?」


「はい。それが、していたようなんです」








『愛と呼べない夜を壊して』



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