ガルディア戦記

蒼月進ノ介

第1話

 新世界暦5200年。プルート・ナイトマンは中央大陸中央北部ガルディア帝国帝都グリーンヒル近郊に生まれる。父親はガルディア帝国航空宇宙軍少佐ライトニングのパイロットであった。母親はガルディア帝国航空宇宙軍少尉の管制オペレーターであった。また、彼の家系は代々軍人であったそのため生まれた長男プルートはいずれ軍人になるだろうと親戚皆が予想した。

 それから成長したプルート・ナイトマンは中学卒業後、航空宇宙軍高等士官学校に入学した。もちろん目標は人型兵器ライトニングのパイロット、自分以外にもパイロットを目指すものはいたが枠が決まっているので嫌でも競争になった。

 それから3年無事ライトニングのパイロットになり士官学校を卒業したナイトマンは少尉として任官された。

 配属されたのは飛行航空宇宙母艦ロストルであった。ロストルは第1航空宇宙艦隊所属の飛行艦で全長700メートル、排水量16万トンでライトニング搭載機数は約80機、艦体下部に30センチレールガン主砲と25センチビーム砲を搭載している飛行艦だ。飛行艦とはこの世界に溢れるマナと呼ばれるエネルギーを使い浮遊装置によって飛行が可能な艦でこの世界では新世界暦4830年に発明された。

 また、ライトニングとはアトランティス王国で開発された人型兵器である。この兵器は戦闘機以上の機動性、戦車並みの装甲、を持った兵器であり開発されるや否や瞬く間に世界に広がった。ガルディア帝国では第二世代型のライトニングーーAT8が新世界暦5215年に実戦配備されていた。他にも別種の機体はあるが、これが主力機だった。

 


「敬礼!」

新世界暦5220年11月5日。澄み渡った空、午前8時。高度2500メートル、ナイトマンは毎朝恒例の国旗掲揚に駆り出されていた。この当番は艦の乗組員が当番で回してる役で今日はナイトマンの当番の日であった。格納庫の一番後ろのデッキに備え付けられた掲揚ポールを前にしてトランペットによる国歌の演奏と共に、ポールを昇っていく国旗を見ながら挙手敬礼していた。掲揚式が終わると同じ隊のジョシュア少尉が話しかけてきた。

 「なあ、今回の演習で良い成績をあげれば航空宇宙戦艦に転属できるんだよな?」

 「そのはずだ」ナイトマンは答えた。

 航空宇宙戦艦は戦艦と航空母艦の特徴を併せ持つ艦種でお互いの長所を打ち消すという意見もある一方で、使い所によればお互いの長所を活かせるという扱いの難しい艦種である。

 「まあ、とにかく頑張ろう」微笑混じりに言った。


 

 

 

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