第198話・プリームスとテユーミア(1)
ドレスの裾と太腿をワインで濡らされてしまったプリームス。
着替えの為にテユーミアについて食堂を後にしたのはいいが、案内された場所は寝室であった。
しかもそこで靴と服まで脱がされプリームスは下着姿にされてしまう。
着替えるのだから今着ている衣服を脱ぐのは当たり前ではある。
しかしプリームスを見るテユーミアの瞳には、明らかに煩悩の炎が燃え盛っていたのだ。
少し怯えたように硬直するプリームスを余所に、テユーミアはそのワインで濡れた太腿へ優しく口付けをした。
そしてそのまま丁寧に舌を這わせ、ゆっくりとワインを拭っていく。
くすぐったくて堪らずプリームスは声も漏らした。
「あぅ・・・」
なんとか刺激に抗いつつテユーミアを窘めようと試みる。
「こ、こら、止めないか・・・・奥方、私は着替えと”話を”聞きに付いてきただけだぞ」
すっかり太腿のワインを舐め取り笑顔でプリームスを見上げるテユーミア。
「何事にも代償は必要ですよ? この場合はご褒美と言った所でしょうが・・・。そんな事より私の事は、テユーミアと呼び捨てて下さいませ」
そんな事を言われるとプリームスも抵抗し難くなってしまう。
「うぅ・・・最後までしないなら多少の事は許す・・・・」
『この感じ、以前にも似たような展開が・・・』
とプリームスは既視感に見舞われる。
基本的に他人がプリームスを見る時は、桁違い、規格外、または次元が違う存在と視認する。
それは余りにも美し過ぎて儚過ぎる為にそう思ってしまうのだ。
故に下手な手出しはして来ない。
それはプリームス自身も分かっていて、早々に身の危険を感じる事は少なかった。
しかし中には例外もいて、アグノスのようにグイグイ来る者も居る。
そしてその例外にテユーミアも含まれるようであった。
テユーミアは言質を取ったとばかりに笑顔を浮かべると、プリームスをベッドに押し倒してしまった。
そこから自身も紫色のドレスを脱ぎ捨て下着姿になると、優しくプリームスの身体に覆い被さり、
「凄く柔らかくて綺麗な肌をされていますね。それに何て良い匂いでしょうか・・・」
そうウットリしつつも驚きながらテユーミアは言った。
プリームスも実は少し驚いていた。
フィエルテも相当に触り心地が良かったのだが、テユーミアもそれに劣らず中々の物だったからだ。
絹のように滑らかな肌感かと思えば、モッチリとして吸い付くような感触もあり実に抱かれ心地が良い。
それに豪拳の二つ名を持つ割には、テユーミアの身体は柔らかすぎて細すぎるのだ。
腕なども引き締まってはいるが細く真っ白である。
どう見ても只の淑女で怪力武人には見えない。
そんなプリームスの思いを察したのか、
「私の身体がお気に召しましたか? ならもっと味わって頂いても構わないのですよ」
などと言い出し上の下着を脱ぎ捨てる。
そしてそのまま露になった胸をプリームスの顔に押し付けた。
「わっぷ!?」
突然顔に押し付けられて呼吸困難になるプリームス。
しかし脳裏では、
『ムムム!? 絶妙な大きさと形の美しさ、それにこの驚く程の柔らかさ! どれをとっても絶品・・・・』
「って、やめ~い!!」
と叫びながらプリームスはテユーミアを押しのけた。
勢いでベッドに転がるテユーミアは、キョトンとした様子でプリームスを見つめる。
「な~にを不思議そうな顔をしておる・・・いきなり顔に押し付ける奴がいるか! 窒息するであろう!」
プリームスが怒りを露にして告げると、申し訳なさそうに気落ちしたような表情を見せるテユーミア。
そうして大人しくなったかと思いきや、今度はプリームスにすり寄り、
「ではジッとしておりますゆえ、プリームス様の思うようになさって下さい」
と従順な態度を見せて言った。
真っ白なシーツの上に横たわるテユーミアは、女体を見慣れているプリームスでも扇情的に思えた。
それは濃い藍色の髪がその白い肌を強調させて、美しさと妖艶さを視覚的に演出したからかもしれない。
だが只それだけでは無く、引き締まった身体と均等の取れた美しい骨格が成せる業だとプリームスは思い至る。
しかしどう見ても武人の様な体格では無く、プリームスはある結論に達した。
プリームスはテユーミアの上に馬乗りになると、ソッとその身体に指先で触れた。
まるで何かを確かめる様に徐に指先を這わせると、テユーミアは声を漏らした。
「んっ・・・」
そこから自身の結論が正しい事を確信するまで、プリームスはテユーミアを
そうなると悶えに悶え続けたテユーミアは息も絶え絶えになり、
「はぁ、はぁ・・・プリームス様、もうご勘弁を・・・・」
と弱々しい声で言った。
「自分から誘っておいてその言い様か、何とも情けない奴だな・・・」
そう言って溜息をつくとプリームスは、テユーミアへ覆い被さる様に身体を密着させる。
丁度テユーミアの胸の谷間にプリームスの頬が埋まる様な状態になった。
そしてプリームスは居心地が良さそうに言う。
「テユーミアとこうして肌を寄せ合っていると、とても居心地がいい。お主が既婚者で無ければ連れて帰りたいくらいだぞ」
プリームスを気に入っていたテユーミアとしては、そんな事を言われて嬉しくない筈が無かった。
テユーミアはプリームスを抱きしめて言う。
「もう、なんて嬉しい事を言って下さるの! 私こそ貴女をここに閉じ込めて自分の物にしたいくらいですわ」
それからプリームスの耳にソッと囁くように呟く。
「で、何か分かりましたか? 私の身体について・・・・」
プリームスはお気に入りの玩具を見つけたように微笑むと、
「ああ、初めは魔術による身体強化かと思った。しかし違うな・・・・これは先天性に近い物だ」
そう言って再びテユーミアの身体をさすり出した。
今度は先程のようでは無く、愛でる様にだ。
「流石です、プリームス様・・・・」
テユーミアはそう答えると触れられて感じたのか、声の代わりに吐息を漏らした。
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