第4話 雇用保険離職票の基本のキ

 退職したとなると、失業給付を受給しながら次のお仕事を探す事になる場合があると思います。

 そして、失業給付の手続きには、雇用保険の離職票が必要になるのですが。

 退職したのに離職票がなかなか届かない!って事もよくある話。


 でも、実は、退職者から離職票の希望が無ければ事業主には離職票の発行の義務は無いのです。

 資格喪失の手続きだけ行えばいいんですよね。

 なので、退職する時には「離職票が欲しい」という事を会社に伝えておきましょう。

 というか、すぐに失業給付の受給手続きをするつもりが無くても、離職票は作って貰っておいた方が良いです。


 次の就職先が決まっていても、行ってみたら条件が違っていて数ヶ月で辞める事になってしまった場合、その会社の離職票だけでは受給要件を満たさないので、前の会社の離職票も必要になります。

 あとは、年金の免除の手続きとか、お子さんの学校関係の何かの免除とか、様々な手続きに離職票のコピーが証明書類として使えるケースが多いので、発行して貰っておいて損はないですね。

 

 余談ですが。

 退職時には“要らない”と言っていたとしても、離職票が必要になった時点で請求する事も出来ます。

 請求されると会社は離職票の作成義務が生じますので、勿論、作るのですが。

 労務担当からすると、何ヶ月も経ってから離職票を請求されると、片付けたタイムカードとか賃金台帳を引っ張り出さなきゃならなくなるので、作るのに手間と時間がかかります。

 でも、後から欲しいって言われる場合って、何かの手続きで急いでる方が多いんですよね。

 なんですけど「明日迄に欲しい」って言われても、正直なところ「無理ー!」ってなりますので、ご注意下さい。


 

 では次に。

 離職票の発行をお願いしているのに届かない場合について。

 喪失の手続きについては、雇用保険法で次のようにの定められています。


◇ ◇ ◇

(被保険者でなくなつたことの届出)

第七条 事業主は、法第七条の規定により、その雇用する労働者が当該事業主の行う適用事業に係る被保険者でなくなつたことについて、当該事実のあつた日の翌日から起算して十日以内に、雇用保険被保険者資格喪失届(様式第四号又は様式第四号の二。以下「資格喪失届」という。)に労働契約に係る契約書、労働者名簿、賃金台帳その他の当該適用事業に係る被保険者でなくなつたことの事実及びその事実のあつた年月日を証明することができる書類を添えてその事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長に提出しなければならない。この場合において、当該適用事業に係る被保険者でなくなつたことの原因が離職であるときは、当該資格喪失届に、次の各号に掲げる者の区分に応じ、当該各号に定める書類を添えなければならない。

◇ ◇ ◇


 何を言っているかというと。

 退職者が出たら、離職日の翌日から10日以内に手続きしなさいねって事です。

 例えば、6月30日付で辞める事になった場合。

 離職日は、7月1日になります。

 その翌日から10日以内ですから、7月11日迄に資格喪失手続きをしなければなりません。

 離職票を希望している場合は、喪失届と一緒に手続きします。

 会社によっては、そういった手続きを社会保険労務士とかに外部委託している場合もありますから、手続きに時間がかかる場合もあります。

 

 だからといって、いつまでも待ってはいられないですよね。

 期日を過ぎても離職票が届かない時には、早めにハローワークに相談しましょう。

 身分証明書を持って行けば、喪失手続きが済んでいるかどうか、窓口で確認をとってくれます。

 そして、まだ手続きがなされて無い事が分かった場合には「確認請求」といって、「私が会社を辞めた事を確認して下さい(合わせて離職票を発行して下さい)」という手続きがあります。

 この手続きを行うと、ハローワークが会社に対して手続きを行うように連絡してくれますので安心ですね。


 そして、それ(確認請求)と同時に、失業給付の仮手続きが出来る様になります。

 

 この仮手続きはとてもメリットがあります。

 本来、離職票が無いと手続きが出来ないのですが、離職票が無くてもあるものと見做して、仮に手続きを進めてくれるのです。

 雇用保険の失業給付は、手続きをしても待機期間が有ったりして、すぐにはお金が下りませんから、出来るだけ早く手続きをしておく事をお勧めします。

 注意点は、実際に離職票が届いた時に、結果として受給資格が無かった場合は仮手続きは無効になります。




 失業給付の手続きをしたのに、4ヵ月近く経たないとお金が入らない?!

 次回は、給付金が手元に入るまでの、ざっくりとした期間について、そして、雇用保険の受給資格についても触れたいと思います。

 

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