7 椚角柄
意外と心にこたえた。苦しいな、これは。
たしかに、影が薄いのが俺の利点であり欠点だった。
しっかし、弁当まで食わせてもらったのに、忘れてる、なんて。
いや、待て。
そもそも、どこまでが夢で、どこからが現実なんだ。
目の前に椅子はある。つまり、椅子を置いて、この子を座らせたまでは、現実。
時計を見る。
今は、まだホームルームから一時間目のあたり。
弁当を食ったのも、夢。
だから、椅子を置いて座らせただけの、関係。
「すいません。椅子はそのまま使ってください」
それしか、言えなかった。
勝手に夢を見て、勝手に舞い上がってた、だけか。
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