3 仮名坂悠理
「あの」
「はい」
「ありがとうございます」
これしか、言えなかった。
男子生徒。手をひらひらさせて、廊下を歩いていった。
この椅子が、私の居場所。
なぜだか分からないけど、少し暖かい気持ちになった。影の薄い生徒から、椅子を譲ってもらっただけなのに。
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