2 仮名坂悠理

私に椅子を差し出して、自分も椅子に座って、そして黙っている。


椅子の位置取りが地味なので、こちらから男子生徒のほうは見えない。

ただ、あんまり気配を感じなかった。影が薄いのかもしれない。


何か話しかけられるかもしれないと思って、ちょっと黙って待っていた。


無言。本当に、いるかいないか分からないぐらい。視線も感じない。


「あの」


「なんでしょ」

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