多目的トイレ不倫でドン底まで墜ちた俺に異世界転生のチャンスがキター!!

金光初

第1話

俺は剣部多和 けんべ たわ。いちおう芸人ということになっているが、


芸人を超越したマルチタレントだった!


人気番組のMCやったり、CM、グルメとしても知られている。


妻は誰もが羨ましがる美人芸能人、木佐みぞの。子供もうまれた。


住んでるのは高級マンション、4憶もした。


そんな超絶人生が週刊誌の記事一発ホームランで吹き飛んだ!


多目的トイレで不倫! 他にも複数の女性との不倫!


叩かれた! メチャクチャ叩かれた!


もうどこにも行けない!あれから部屋に引きこもっている!


妻は今のところ離婚しないそうだ。

それで妻の評価は爆上がり。俺の評価は爆さがり!


俺のかわりに番組に出演した相方の評価も爆あがり!

チクショウ! まさか、こんなことになるなんて!


毎日、ひたすらネットみてるだけ。

外出できないから、他にすることない。


動画サイトとか無限に楽しめるほどの分量があるが、

毎日見てると飽き飽きとしてくる。


ボケーっとダラダラ深夜に一人ひきこもって、

エロ動画のパソコン画面ながめてた。

そしたら急に画面が切り替わってヘンテコな3Dキャラが登場した。


「はい、どうも! あなたは幸運にも異世界転生の資格を取得!

 ラッキーですね。今、死にたいくらいに絶望してるでしょ!」


安物のVtuberみたいなキャラが話しかけてくる。


「なんなんだ、なんなんだおまえは!」


「わたしは異世界転生の案内人エスポワールだよ。

 生きづらさを感じてる人々の救う存在なのだ。

 人は自分が輝ける場所でいきたほうがいいよ。

 いじめられっ子や、過労死のブラック企業社畜、チー牛。

 そんな人生とはオサラバ! チートスキルでハーレム無双しようぜ!」


「なにいってやがる! そんな、なろう小説みたいなの

 あるわけないだろう」


「それがあるんですよ! 信じてね」


酒もだいぶ飲んでいた。深夜で眠くもあった。

だから話をついつい聞いてしまっていた。


そして、話を聞き終わったころ俺は眠りこけた。


朝9時、俺は目覚めた。真っ先にパソコンを調べた。異常なし!

ハッキングや不正アクセスなどない。あれはホントの事なのか。

誰かのいたずらじゃないのか? もうひとつ確かめることがあった。


朝食をとりにテーブルにつくと、コーンフレークだった!

エスポワールの予言どおりだった!

エスポワールは自分の存在をしんじさせるため朝食を予言した。


木佐みぞのは結婚して以来、家事に料理に力をいれていた。

不倫以降も手を抜くことはあっても調理はしていた。

しかし、ついにコーンフレークとなった。

箱と袋もあけずにそのまま! 箱のとなりに空き皿。


もちろん文句なんて言えるわけない。

ただ、だまって喰うのみ。

美食グルメ王として高級美味のことごとくを堪能した俺が、

まさかコーンフレークを喰うとはな・・・・トホホ!


とりあえずエスポワールの信憑性はあがった!


さらに昼飯と晩飯もあたった。


昼はレトルトカレー、晩は冷凍チャーハン。

クソっ! なんて落ちぶれようだ!

離婚は今のところ回避できているが、今後は解らない。


本気で異世界転生を目指したほうがいいみたいだ!


その夜、再びパソコンにエスポワールがあらわれた。


「どうですか。決心はつきましたか?」


俺はエスポワールを信じることにした。

パソコンには細工したあとはないし、現在はオフラインにしてるから

不正アクセスとかもないはずだ。

俺はパソコンにそこまで詳しくないが、妻はもっと機械に弱い。

ネットはスマホオンリーでパソコンには触ったことすらない。


「本当に大丈夫なんだろうな。

 こっちの生活をすてるんだから相当のチートじゃなえと」


「わかってますって。でも、あなたはこの世界では

 終わってますから絶対後悔なんかしませんよ」


たしかに俺は終わってる。だがはっきり言われるとムカツク!


「まずクラスは勇者です。そこらのRPGみたいに

 最初の装備がショボいとかないですから。

 スキルもガチャでなくて自分で好きなの選べますから」


「よぉぉぉぉし!それじゃ異世界転生いっくぞぉぉぉぉぉ!」


高級マンション20階の部屋からベランダにでた俺は、ダイブ!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る