怪光
Tako
第1話 怪光
男は、導かれていた。何に導かれていたかは見当がつかないが、とにかく導かれていたのだ。ただ、男を導いていたものは、怪しく、妖しい光を放った、拍動する球体であった。男はふらふらと、糸に操られているかのような足取りで、球体の後を追っているのだった。
球体は、追われていた。きっと追手は恐ろしいものだったに違いないだろう。拍動を激しくして、今にも千切れてしまいそうな球体は、扉に向かっていた。
刃は、迫っていた。今にも音速を超えようかという勢いだ。魔の手を差し伸べようとしていた。冷酷で、それでいてありふれた仮初めの正義の剣であった。
男は、球体に追いついた。いや、しがみついたと言ったほうが正しかったのかもしれない。
刃は、男と球体に追いついた。それにしがみつく男を引きはがそうと、男は刃を振るう。
後には、糸を切られた人形が残るばかりであった。
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