第48話 ターニングポイント。

 コールドスリープ中のアリシアは、ほんと何度も何度もマシンメア=ハーツの世界を旅してた。


 まあ。


 そのほとんどの場合普通に物語をなぞって人生が終わった。


 いつからだったろう? 何度目の周回だったのか、もうあたしも数えて無いからわからないけれど。


 アリシアは……。





 飽きた、のだ。





 たぶん。







 同じ人生を繰り返しているとは思っていない筈なのに。


 やっぱり心の奥底で、そう思っちゃったのかも知れないんだけど。




 人生に、飽きた。


 生きる事に、飽きた。


 筋書き通りに動く事に、飽きた、の。






 ああ。このままじゃ、ダメ、かな。


 でも、あたしが手を出して良い問題でも、無いかもだし。


 これ以上あたしが恣意的に動くと、このマシンメア=ハーツの世界そのものが崩壊してしまうかもしれない。それはちょっと嫌だ。


 粘土細工のように作り直した世界は、やっぱり嫌だ。




 だからなるべく見守るだけにしてた。あの時までは。





 アリシアが何度も何度も人生を繰り返している存在、セリーヌ・ラギ・レイズ。


 マシンメア=ハーツという物語の主人公。


 何度かの世界線のあと、そのセリーヌが夭逝してしまうようになった。


 アリシアが飽きた事が原因か、その世界線でのマザーの反攻なのか。そこのところは微妙。


 まあどちらにも原因遠因があるんだろうとは思うけど。


 でも。


 流石にちょっとまずいよね?


 世界がそれで固定されてしまえばそちらの世界線が主流になり、ラギレスが存在していた世界線は脇に追いやられてしまう。


 それはちょっと嫌かな。




 最小限の介入で元の世界線の流れに戻す為、あたしはターニングポイントだと思われる時点に跳んだ。


 セリーヌ十歳。馬車の事故で彼女が死んでしまうその瞬間に。

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