第47話 心の根源。

 物語が世界を生むっていうのも信じてくれない事が多いんだけど。


 世界っていうのは何にも無いところからぽこぽこ泡のように生まれてくる、って、そんな表現をする事もあるんだけど、実はそれは正しく無い。


 何も無いところから何かが生まれるのじゃなくて、そこにはちゃんと生まれるに値する、タネ、が、あるの。


 もちろんそれは、ほーんの小さなきっかけ、であるかも知れないし。


 何かの火種の場合もあれば、別の世界のカケラの場合もある。


 世界が分離、分岐する場合も、ね。


 でも。


 今やっぱり一番多いのは、人の心に宿る物語が形になる世界かな。



 人の心、インナースペース、その魂のカケラ。


 そのカケラがキッカケとなって新しい世界が生まれたりする。



 そう、人が想像する分、妄想するだけ、おはなしの世界は生まれたり消えたりしてる。



 それだけ妄想する心っていうのは凄い! って事、なんだけどね?




 人の心。その魂。根源。それはマナでカタチ造られてる。


 輪廻の円環によって循環しながら生命に宿る。


 そしてその魂、レイス(Wraith)には、世界を創造するだけのチカラがあるって事なんだ。


 それは泡のように生まれ一瞬で消えてしまう儚い物も有るけれど。


 新しい世界となってまた次の生命を産む土壌になったりもする。



 そう考えると、すごく素敵でしょう?



 そこにはヒーローが活躍する世界も


 ヒロインが活躍する世界も


 魔法のある世界も


 ロボットがいる世界も


 そして、


 神様がいる世界も


 ほんとうに様々な、人が想像する分だけの世界がある。



 そうそう、そんなおはなしを妄想するだけじゃなくて、絵やカタチ、ストーリーに綴ることによってより具体的に世界を創り出す人だって、いる。


 そういうクリエーターのレイスは、より具体的に、より妄想した内容に近い、そんな世界を産むの。




 マシンメア=ハーツの世界はアリシア・ローレンのレイスより産まれた。


 あは。もう、馬鹿みたいな話なんだけど、ね。


 つまりはあたしの心が産んだ世界だって事なんだよね。




 いろんな世界、いろんなおはなしを眺めているだけの時は、そんなおはなし世界が羨ましくて。


 一度自分で干渉しておはなし世界を産み出そうとしてみた事もあった。


 偶然見つけた自殺未遂した女の子のレイスから別の世界を産み出して。


 その時実際にあたしの手足となって動いてくれたのはデートリンネだったけど、ね。


 やっぱり恣意的に産み出そうとしたせいか、その世界は不完全で。


 ああこれはすぐ消えてしまうかな。そう思ったら興味が失せて。




 そういえばあの世界、どうなったかな。


 今度ちゃんと観測してみよう。




 って話が逸れたけど。


 そんなわけであたしがマシンメア=ハーツの世界に執着しているのも、この世界があたしのレイスが生み出したおはなし世界だからっていうのも大きいのかも。


 欲しくて欲しくてたまらなかったあたしの子供、みたいなものだもん。

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